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デルス・ウザーラ (1975)

DERSU UZALA

監督
黒澤明
  • みたいムービー 75
  • みたログ 438

3.90 / 評価:170件

ルーカスの黒澤好きを再認識。

  • pin***** さん
  • 2017年2月5日 11時03分
  • 閲覧数 1102
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

冒頭の森林のシーン。東山魁夷の絵画をも彷彿とさせる美しさ。一気にハートわしづかみである(映画の善し悪しの多くは冒頭の5分~10分で判断できる場合が多い)。

昔の映画を観ていてウキウキする部分のひとつは、「今だったら絶対撮れないよね(予算や興業リスクや労働条件とかの理由で)。」というのがひしひしと伝わってくるとき。
厳しい撮影だったであろう広大なシベリアの風景の美しさは観ているだけで引き込まれる。

自然破壊については、宮崎駿監督も「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」等で取り上げているが、本作は少なからず影響を与えていると思われる(宮崎監督が本作を観ていないとは考えにくい。)。彼の映画に出てくる年配の賢人達とデルスは被る部分が多い(まねしていると言うよりも、エコサイクルを考えた場合、似たような考えに帰結するのであろう。)

森の食物連鎖の頂点にある虎は殺してはいけない存在。
デルスの弾が逸れたので、カピタンが「虎を殺してはいないよ。」と説明するも、デルスは「虎は死ぬまで走り続ける(だから殺した)」。以後デルスは虎(自然の象徴)が殺しに来るのをおびえ続けることになるが、カピタンにはピンとこない。
このあたりの感覚は今では受け入れ易いだろう。行政・企業・個人が「直接手を下していないよ。」といってもその行為が間接的に自然を破壊していくことを、私たちは何度も経験した。

デルスの価値感で面白いと感じたのは、
水や薪のように自然にあるものを、さほど手を加えず(とデルスは感じている)人に売るのは悪いこと。
自分が食べる以上に沢山動物を殺すのは悪いこと。
暴力で人からものを奪うのは悪いこと。
クロテンを捕獲してお金に換えるのは良いこと(デルスはカピタンにすごく嬉しそうに話していた。)。
でも、デルスがお金を預けた商人が、そのお金を持ってどこかに消えたことについてデルスは怒っていなかった。「ワシには分からない」と首をかしげるだけ。
暴力を使わず、無価値なものを売りつけるわけでもなく、単に持って行くというのは彼の理解を超えているのでしょう(小屋を去るとき、米や塩を置いておくと次の人が死ななくて済むという彼の行動と比較して考てみると面白い。)。

動いている瓶を吊った紐に弾を当てることができたデルスが最後の方では止まった手袋に弾を当てることができなくなった。
人は加齢によってできていた事ができなくなってくる。
目が悪くなり、一度森での生活をあきらめるも、都会に馴染まず再び森に戻るデルス。
黒澤監督も公開時65歳。40代~50代の頃のような作品を作るのは難しい。でも、60代でなければ撮れない作品があるのも事実。
本作でアカデミー外国映画賞をとり、世界のクロサワ復活を印象づけた事は間違いない。
本作の冒頭で表示される1910年が黒澤監督生誕の年であることや、東宝との契約終了後の色々な出来事を考えれば、一言では語れない思いが本作に込められているんだなぁ、と感慨深いものがあります。


追記:本作を観ていて、「どこかで観たことあるなぁ」と思っていたところハタと気づいた。
文明社会からきた調査隊と文明には疎いが自然に詳しい現地の人との交流というは良くあるパターンだが、舞台が森林であること、デルスがずんぐりむっくりでひょこひょこ歩く、短い手足を使ってテキパキ仕事をする、気難しいが人なつっこい。
そう、「ジェダイの復讐(今は帰還か)」のイウォークにデルスはそっくり。
そう思うとカピタンはレイアかルークに見えてくる。

また、デルスの機転でカピタンが雪原での一夜を生き延びるくだりは、「帝国の逆襲」の氷の惑星でのソロの機転でルークが一夜を生き延びるそれに酷似している。
加えて、月と太陽が映る場面が「はるかなる希望」の2つの太陽とそっくり。(「デルス~」を何回か観ていると、デルスが「あの人は一番えらい人、この人は二番目にえらい人・・」と説明しているこのシーンで、私の頭の中であのテーマ曲が再生されて、スターウォーズを観ている錯覚さえ起こる。これって私だけ?)
スターウォーズの4,5,6に本作を想起させるシーンがあるって、「ルーカスどんだけ黒澤好きやねん。」と再認識。

詳細評価

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