ここから本文です

天国の日々 (1978)

DAYS OF HEAVEN

監督
テレンス・マリック
  • みたいムービー 85
  • みたログ 527

3.61 / 評価:162件

解説

『ツリー・オブ・ライフ』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したテレンス・マリックが、1978年に発表した監督第2作。20世紀初頭のテキサスの広大な農場を舞台に、時代に翻弄(ほんろう)される若者たち4人の青春、希望、挫折が描かれる。主演は、『シカゴ』『HACHI 約束の犬』のリチャード・ギア。人口的な光を極力避け、その場の状況次第で撮影を行うなど、映像へのこだわりが強いマリック監督の初期作品に注目したい。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

第1次世界大戦が始まったころ、シカゴの製鉄工場で働くビリー(リチャード・ギア)は仕事を辞め、妹のリンダ(リンダ・マンズ)と恋人のアビー(ブルック・アダムス)と共にシカゴを飛び出す。テキサスの農場で麦刈り人として働くことになったビリーだが、若き農場主チャック(サム・シェパード)がアビーに目を付けたと知り……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)1978 Paramount Pictures corporation
(C)1978 Paramount Pictures corporation

「天国の日々」その崇高さと峻厳な美しさで、見る者を圧倒する

 日没後、視界が暗闇に包まれるまでの、あえかな残光で満たされた薄明の数十分の時間を<マジック・アワー>と呼ぶが、それが作品そのものの代名詞として語り継がれてきたテレンス・マリックの伝説的な第2作である。

 シカゴから流れてきた季節労働者リチャード・ギアとその妹リンダ・マンツ、恋人のブルック・アダムスがテキサスの大農場に雇われる。余命幾ばくもない孤独な農場主サム・シェパードがギアの妹を装うブルック・アダムスに求婚し、やがて悲劇が起きる。

 <マジック・アワー>を中心に、ほとんど自然光によって紡ぎ出された名手ネストール・アルメンドロスの繊細で陰翳豊かな映像は、一度見たら決して忘れることはできない。地平線の彼方まで続く広大な大平原と苛酷な麦刈りの光景はアメリカの原風景といってよいが、ウォーカー・エバンスが大恐慌下の南部農民をとらえた傑作フォトグラフを想起させるほどに、その崇高さと峻厳(しゅんげん)な美しさで、見る者を圧倒する。

 テレンス・マリックは、新作「ツリー・オブ・ライフ」で、ある家族の年代記を汎人類史的ビジョンにまで拡張させたが、この作品でも、妹マンツの素朴なナレーションによって語られることで、一見、ありふれた三角関係のドラマが、「旧約聖書」のペシミスティックな世界観を反映させた神話的な骨格、拡がりを獲得している。鉄橋を渡る列車、突如として空に現れる芸人を乗せた複葉機、途方もないイナゴの襲来、草原を焼き尽くす炎……、すべてはマンツの瞳に映じたノスタルジックな夢想に満ちた童話的世界の出来事のようでもある。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2011年8月25日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ