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天はすべて許し給う (1955)

ALL THAT HEAVEN ALLOWS

監督
ダグラス・サーク
  • みたいムービー 5
  • みたログ 53

3.67 / 評価:9件

愛の敵は誰なのか

  • 一人旅 さん
  • 2016年1月24日 15時49分
  • 閲覧数 571
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

ダグラス・サーク監督作。

子持ちの未亡人キャリーと年下の庭師ロンの愛の行方を描いたドラマ。
キャリーの住む町の住民は保守的。ロンと一緒にいるキャリーを目撃した意地の悪い女は、キャリーをふしだらな女と見なして悪い噂を町中に広める。キャリーもその保守的なコミュニティにどっぷり浸かっていて、自身の古い考え方から抜け出すことができないのだ。キャリーとロンの愛は本物だが、二人の愛は周囲の人々の格好の標的となる。キャリーの子どもたちでさえ、町の住民同様に母親の恋愛と再婚を露骨に拒絶してしまうのだ。
そして、噂や世間体に対するキャリーの意識が、二人の愛の足枷になる。そうした中、ロンだけが真実を見抜くことのできる存在。他人の意見など気にもせず、キャリーとの純粋な愛を求め続けるのだ。
人々の噂や考えが二人の愛を隠してしまう悲劇。二人の愛に他人が関与するのだ。とは言っても、他人が直接的に愛を壊すわけではない。キャリー自身が他人の意見を尊重した結果、自分自身の嘘偽りのない愛を自ら否定しようとしてしまうのだ。これは決して特別なケースではないと思う。現実でも結婚は家と家の結びつきであり、相手の家柄が気になるのは当然のことだ。それに、若い男と未亡人がくっつくとなれば、良からぬ噂が流れるのも仕方がないのかもしれない。
二人だけの純粋な愛が出発点でも、他人の意思が愛の上に次々と覆いかぶさる。それをかき分けてかき分けて、元々あった純粋な愛だけを拾い上げるのは決して容易いことではない。何より、愛の本当の敵が他人ではなく、欺瞞に満ちた自分自身の心にある点が厄介なのだ。
愛に真摯に向き合うキャリーとロンの姿を描いたストーリーは見応えがあるが、演出面でも本作は優れている。特に、ロンが手入れを続ける風車小屋や小さい陶器が、二人の愛の状態を象徴するかのように映し出されていく演出は素晴らしい。また、大事な場面で二人の心を接近させる役割で登場する動物の存在も神秘的で美しい。
ダグラス・サークの作品は現時点で本作と『心のともしび』の二本しか鑑賞していないが、共通して言えるのは音楽の選曲と曲の出しどころが絶妙だということ。二人の感情の高まりに呼応するかのように流れ始める感傷的な音楽が、観る者の感情を一層揺さぶってくれる。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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