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ドクトル・ジバゴ

ドクトル・ジバゴ

DOCTOR ZHIVAGO

PG12194

kak********

5.0

戦争と革命の最中でも、人間は愛を失わない

原作は、ロシアの作家ボリス・パステルナークの同名小説。ノーベル文学賞を授与されながらも、社会主義を批判した内容と言われ、本国で出版禁止となりイタリアで出版された経緯がある。ロシア革命前後の混乱の時代を背景に壮大なスケールで描く叙事詩を、「アラビアのロレンス」で知られるデヴィッド・リーン監督が映像化し、代表作の一つとして今も輝いている作品。 物語は、医師であり詩人でもある主人公が革命の最中に出会った美しくも逞しい女性と恋に落ちる波乱の人生が描かれて行く。別々の人生を歩んでいた二人があるとき交わったことにより燃えるような愛が生れる有様は、混乱した世界をも飲み込んでしまう程切なくも美しく、愛の深さは計り知れないと教えてくれる。 主演のオマー・シャリフ、共演のアレック・ギネス、脚本のロバート・ボルト、そして音楽のモーリス・ジャールなど、主な出演者やスタッフは「アラビアのロレンス」にも関わっていて、デヴィッド・リーン一家のごとく息が合っている。また、挿入歌の「ラーラのテーマ」は映画音楽史上の名曲として知られている。 その「ラーラのテーマ」は劇中で繰り返し効果的に使われていて、ヒロインのラーラの感情の変化を巧みに表現している。ラーラを演じたのは本作品と同じ年に製作された「ダーリング」でアカデミー賞主演女優賞を受賞したジュリー・クリスティ。ロシア革命の混乱時代を逞しく”愛”に生きた女性の美しさを完璧に演じている。 共演では、喜劇俳優で有名なチャールズ・チャップリンの長女であるジュラルディン・チャップリン、主に舞台俳優で活躍しているトム・コートネイ、「夜の大捜査線」のロッド・スタイガーなどの実力派俳優がそれぞれの持ち味を発揮していて重厚な人間ドラマを支えている。 原作者のボリス・パステルナークも詩人であり、主人公と相通じる所があるし、自身も後に反体制活動の道を歩むなど、当時のロシアにおける社会情勢からすれば勇気ある行動で、本作品の力強さと無縁ではない気がする。見所満載で見応えのある作品であるが、セリフより映像で見せる手法が多く使われていて、これぞ本物の映画と思わせてくれる不朽の名作と言える。

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