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毒薬と老嬢

毒薬と老嬢

ARSENIC AND OLD LACE

118

Kurosawapapa

5.0

最後まで吸引力が落ちないブラックコメディ

映画の大半は邸宅の一室のみが舞台、 また、118分間とコメディとしては比較的長丁場の枠内で、 次から次へと新たな展開を生み出していく脚本の妙に、驚きを隠せない。 アメリカンドリームやヒューマニズムを描いてきたフランク・キャプラ監督だが、 本作に限っては、 道徳 や 倫理 を無視した異色作。 なにせ、可愛らしい老姉妹が孤独な老人を家に誘い込んでは、毒入りワインを飲ませ殺害するという物語。 老嬢たちには、三人の甥がいる。 ・自分のことを大統領だと思い込んでいる精神障害者のテディ ・狂気の犯罪者ジョナサン ・劇評家で新婚の主人公モーティマー(ケイリー・グラント) この三人に結婚相手のエレーン(プリシラ・レイン)、警官オハラ(ジャック・カーソン)などが加わり、ドタバタ劇が展開される。 姉妹にとって、毒入りワインを飲ませるのは、 殺害というより、天国に行かせてあげる慈善事業。 死体も写さず、問題の地下室も写さないので、観る側の想像力をかきたてるとともに、ストーリーは お伽話のように展開。 途中、映画の話になり、 「 ホラー映画なんて作るべきじゃないわ 」という洒落も盛り込まれている。 老姉妹の、 近所で評判なほどの優しさ と 毒殺 、 この大きなギャップがこの映画のミソ。 不調和を感じながらも、 いつの間にか二人の温かい笑顔に丸め込まれてしまう。 ケイリー・グラントのオーバーアクションを含め、 本作は、あくまでも明るく、あくまでもコミカルにというコンテンツを崩さない。 特に後半30分の、 テンポある一挙手一投足、 畳み掛ける “オチ” の数々は見事。 この映画、 疑心暗鬼で鑑賞してみたものの、ちょっとした宝くじ当選気分☆ 埋もれていたクラシックの名作。 キレのいい会話劇を存分に堪能できるブラックコメディです☆

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