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時計じかけのオレンジ (1971)

A CLOCKWORK ORANGE

監督
スタンリー・キューブリック
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  • みたログ 6,562

3.80 / 評価:2150件

ラストについて…

  • ジャビえもん さん
  • 2021年10月20日 20時35分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

自分の暴力性と向き合わされる、そんな映画です。

前半、アレックスという主人公の暴力行為をいやというほど見せつけられます。
老人に、小説家夫妻に、はては仲間に対しても…。
そして、殺人。

しかし、不思議なことに、それほど不快だと思えない。
アレックスの視点で描かれているがゆえ、自分も彼と同化してしまったからか。
それゆえ、もともとあった内なる暴力性が満たされるからか。

金をせびってくる酔っ払いの老人や、アレックスを裏切った仲間を、殴っても蹴っても、不快どころか、痛快さすら感じてしまう。
小説家の奥さんをレイプするシーンだって、どきどきしてしまう。
アレックスのすることに、いつの間にか共感している自分に気づき、はっとさせられます。

暴行を受ける側からの視点で描かれていれば、アレックスの行為に嫌悪感を抱いたであろうに、アレックス自身の言葉で語られるストーリーの中では、すっかり自分の本性が露となり、そいつから目を背けられなくなってしまいました。

後半は、一転して、アレックスが手ひどい仕打ちを受けていきます。
前半でアレックスが痛めつけた人間と、次々再会し、仕返しされていきます。

しかしここでも、アレックスに同情しながら、彼が罰せられていく様子に、痛快さを感じてしまいました。

これは、どういう心理なのか。加虐心が、自分の中にあったのか…。
とにかく、アレックスにとっての悪夢のような出来事が、面白くて、面白くて、思わず笑ってしまいました。

私だけ、なのでしょうか。

なんだか、自分の人間性が暴かれたようで、映画を観た後、複雑な気分になりました。

ラスト、アレックスは再び凶暴性を取り戻します。
一度は治療され、もはや暴力をふるえなくなったアレックスでしたが、あれこれあって、結局は、元通りに……。

と、一般的には解釈されています。

しかし、ほんとうに、そうなのでしょうか。

最後の、アレックスの表情。
再び暴力できることに恍惚となっている表情には、どうしても見えません。
むしろ、あの目は、昇天したことを表しているように見えます。
彼は、あの世にいっちゃったのではないでしょうか。

とすると、「完全に治った」という最後の言葉は、「馬鹿は死ななきゃ治らない」という言葉の通り、死んだことによって彼の病気は完全に治癒した、という意味なのではないでしょうか。

その後の、いわゆる「セックスファンタジー」と言われているシーン。
これもアレックスの願望なのだという解釈が一般的です。
しかし、アレックスがセックスしているわけではありませんから、彼の夢、というよりは、人間は本音の部分ではこういう夢を見てるんだぜ、という、キューブリックからの皮肉っぽいメッセージのように感じます。

原作の終盤は、まったく違うようですが…。

ちなみに、映画前半でアレックスに暴行を受け、後半で再びアレックスと再会する、小説家――。
彼を演じている役者さんの顔芸、必見です。

後半、警官(元の仲間)から暴行を受けたアレックスは、自分が以前に押し入った家だと気づかず、小説家の家に助けを求めます。
小説家も、最初は気づきません。アレックスを可哀そうに思い、また、政治的な思惑もあって彼を助けます。
ところがです。
風呂場でアレックスが口ずさむ、ある歌を聞いているうち、小説家は思い出します。
以前、自分の家に押し入り、妻をレイプした若者も、その歌を口ずさんでいたことに…。
そして、ついに、アレックスとあの若者が同一人物だと気づくのです。

そのときの、顔――。
数多く映画を観てきましたが、彼の顔芸には、あっと驚きました。
そして、爆笑してしまいました。

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