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年上の女

年上の女

ROOM AT THE TOP

117

じゃむとまるこ

4.0

「土曜の夜と日曜の朝」

1959年公開の本作は、単に若者と"年上の女"との恋愛を描いた映画と思うとシモーヌ・シニョレの名演・・・アカデミー、カンヌ両主演女優賞を獲得・・・はともかくとして、取り立てて名作と言われるほどのものじゃありません。 辛口社会派ドラマとして製作されていますので、社会背景をわかっているほうが感じ入るものが多いと思われます。 英国はAngry Young Men(怒れる若者たち)派。 その一人と見なされているアラン・シリトー原作「土曜の夜と日曜の朝」。 本作は映画化されたそれととてもよく似ています。 「年上の女」、ストーリーはこんな感じ。 イギリス北部の都市にやってきた田舎出の若者ジョー(ローレンス・ハーヴェイ)は、上流階級の暮らしに憧れ、町の有力者の娘スーザンをものにしようとつけ回す。 娘を彼から引き離すべく、父ブラウンは彼女をフランスへと発たせた。 ジョーは、夢破れたかと落ち込んだが、スーザンも所属する素人劇団の女優アリス(シモーヌ・シニョレ)に慰みを得、その満たされない年上の人妻と愛欲に溺れた。 しかし彼はフランスから帰ったスーザン(上流階級の暮らし)を諦め切れない。 そして、強引に関係を持って彼女を妊娠させると、今度はブラウンから、二人を結婚させようと圧力がかかった。 ついにジョーは一切をアリスに打ち明けるのだが……。 全てを手に入れたジョー、でもアリスを失って何もかもが色褪せて見える、 自分にとって本当に必要としていたものは何かを気付くのが余りにも遅すぎた、 手に入れたものは苦い幸せ。 社会が不当に築いた規制への反発、権力者の偽善に対するアナーキックな憤りから非体制的な反逆、不道徳行為で権力への抵抗を試みるが・・・・成功の苦き味、を描いたものだと思います。 シモーヌ・シニョレ、たばこを銜えた倦怠感漂う表情、ジョーからすべてを告白された時の能面のように凍りつく表情、中年女の悲哀を感じさせ胸を衝かれます。 《余談》 アラン・シリトーは代表作に「土曜の夜と日曜の朝」、「長距離ランナーの孤独」などがあり、それぞれ1960年、1959年と映画化されています。 両映画とも名作といわれ、「土曜の夜と日曜の朝」は若いころのアルバート・フィニー主演作です。 2010年82歳で没。

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