ここから本文です

上映中

海の上のピアニスト (1998)

THE LEGEND OF 1900

監督
ジュゼッペ・トルナトーレ
  • みたいムービー 455
  • みたログ 3,621

4.13 / 評価:800件

時代を越えることのせつなさと美しさ

  • uka***** さん
  • 2020年9月17日 10時36分
  • 閲覧数 686
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

イタリア版公開ということで20年ぶりに映画館で。
当時20代の若造だった自分にはこの映画のせつなさは受け取れても何がせつないのかに思い至ることはなかった。
いま改めてみたとき、主人公のT.D.レモン1900がなぜ「狂った世紀」の始まりの年をその名に背負うことになったかも考える事が出来る。
レビュアーの方にこの点を言及された方がいたが、19世紀(発展と狂騒の世紀)と20世紀(戦争の世紀)を対比する事が、主人公のあの結論に達する事だったのかもしれない。

この映画は上映時からとにかくエンリコ・モリコーネの音楽が絶賛された記憶があるが、イタリア完全版のせいか、とにかくすべてのシーンを切り抜く音楽が余すことなくすべてのシーンで饒舌に物語を語る。
役者たちよりも、筋書きよりも雄弁だ。

ティム・ロスがとにかく無垢な主人公を美しく演じているのも改めて印象に残る。
個人的にはあまり有名と思う役者がいない本作だが、すべての配役がまるでこの作品の為に用意された役者だけで作り上げたかのように印象的だ。僕自身、ティム・ロスはもちろん、マックス(コーン)を演じたブルイット・テイラー・ヴィンスの印象もこの配役にしかない。
ティム・ロスが時折見せる達観したような表情も印象的だが、とにかくヴィンスの目の動きの演技がすごい。ちなみにピアノ演奏のシーンはティム・ロス自身が猛特訓を重ねて自ら演じたそうだ。(音はもちろん別演奏で重ねている)
セリフのないところに彼らの演技の真骨頂がある。

トルナトーレ監督が描き出す映像に映る世界は、いつだって、背景に居る名もなき人々の顔にこそ美しさがある。
この人は本当に、ひとが好きなのだと思う。

話を戻すと、主人公がタラップを降りる時に見たニューヨークの描写は、はたして無限に連なる「見えない世界」に対して抱いた畏怖だったのか。
1900の目を通して現代人が失ってしまった感性を、そこに提示したかったのではなかったか。
世界は広大で、旅するに値する。
しかし1900にとって、音楽を通じて無限に広げられるその想像力が豊か過ぎるゆえか、そこにあるのはただ無限に連なる非連続の確率でしかなかったのかもしれない。

安易に答えにできないけれど、僕らは21世紀にたって、この映画を振り返ることも容易に出来なくなってきたことだけは確かに感じている。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 笑える
  • 楽しい
  • ファンタジー
  • ロマンチック
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ