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風が吹くまま (1999)

THE WIND WILL CARRY US/BAD MA RA KHAHAD BORD

監督
アッバス・キアロスタミ
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3.47 / 評価:43件

発掘良品を観る #494

  • 一人旅 さん
  • 2019年1月12日 23時19分
  • 閲覧数 849
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

第56回ヴェネチア国際映画祭審査員グランプリ。
アッバス・キアロスタミ監督作。

取材のため訪れた小さな村で人生の意味を見出してゆく男の姿を見つめたドラマ。

イランの巨匠:アッバス・キアロスタミ8本目のレビューは1999年製作『風が吹くまま』。
イランの首都テヘランからクルド系の小さな村:シアダレを訪れたテレビクルーたち。彼らの目的は、村の葬儀で昔から行われてきた独自の儀式(哀悼の意を自傷行為で表現する)を取材すること。しかし、死ぬ間際であると聞かされていた老婆は予想に反してなかなか死なない。3日間を予定していた滞在期間はみるみる過ぎていくが、数週間が経過しても老婆は死ぬことがなく、遅々として進まない取材に焦りと苛立ちを隠せなくなるクルーたち。しかし、クルーの一人であるディレクターのベーザードは村での滞在を通じて生きることの意味を見出してゆく…というキアロスタミ流人生哲学譚を、自然豊かで長閑な小村で一日一日を懸命に生きる素朴な村人たちとの交流の中にドキュメンタリータッチに綴っています。

冒頭、曲がりくねった一本道が映し出される時点でキアロスタミ流を確信できる作品で、テーマや作風はパルムドールを受賞した『桜桃の味』に通じる部分があります。主人公の男は村で老婆の死をひたすら待ち続けますが、村での滞在が長引けば長引くほど、今を生きる村人たちとの関わりを通じて死と一体となった“生”の意味を見出してゆく。案内係の少年に会う度に老婆の病状を訊ねていた男の行動はやがて老婆の命を助けるためのものに変化していき、また、井戸掘りの男性が落盤事故に遭った際には村中を奔走して人々に助けを呼びかける。男は老婆の死を待ち続けた先に、“生”の意味を知っていくのです。ルノワールの『河』を連想させる、死と一体であるからこそ輝きを放つ“生”の儚さと美しさが浮かび上がってゆく、キアロスタミらしい穏やかな眼差しで人間と人生を見つめた名編であります。

蛇足)
アッバス・キアロスタミ監督 ~個人的おすすめランキング(暫定)~
1、『友だちのうちはどこ?』
2、『桜桃の味』
3、『クローズ・アップ』
4、『そして人生はつづく』
5、『ホームワーク』

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 切ない
  • コミカル
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