レビュー一覧に戻る
菊次郎の夏

********

4.0

母を訪ねて、では終わらない

1999年。北野武監督。母を知らない小学生の少年は、夏休みにふとしたことから母親探しの旅に出る。たまたま同行することになった知り合いの知り合い程度のあやしい男と一緒に。男は少年を振り回していい加減な旅を続けるが、少年との間に交流が生まれて、という話。 母親探しの物語はうまく行くか行かないかで終わりだが、映画はそのとき半分程度しか進んでいない。この後、暇を持て余す大人達が少年とともに本気になって遊ぶ過程で少年に笑顔が戻ってくる。もちろん、寅さんなのだが、こういう大人がいなかったらどうなるのだろうと思わずにいられない。 少年から見える世界、だけでなく、とんぼから見える世界も映す。少しずつ重なっている北野映画の世界も味わえる。どの映画にも出て来る海辺のシーンや盲者のシーン、住宅街のシーンは「あの夏~」、天狗のシーンはのちの「座頭市」へ。

閲覧数2,480