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愛と死の記録 (1966)

監督
蔵原惟繕
  • みたいムービー 7
  • みたログ 72

3.12 / 評価:33件

あなたに本当の答えを言えるのは神様だけ

  • たーちゃん さん
  • 2021年10月12日 19時26分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

出会いは偶然である日の朝、和江(吉永小百合)の前にバイクの幸雄(渡哲也)が飛び出し、和江の持っていたレコードを破損させてしまいます。そのレコードを弁償するために待ち合わせをしますが、和江の勤めているレコード店の商品でそのレコード店の同僚のふみ子(浜川智子)と幸雄の同僚の藤井は偶然付き合っていて、この二人の戦略で和江と幸雄は再会する事になります。
後日バイクでのアベックデートをしますが、雨が急に降ってきてしまいます。お互いの気持ちに気が着いていながらも、幸雄は将来の事を語ろうとしません。自分には今しかないと言います。
幸雄は自分の事を親のように面倒を見てくれている岩井(佐野浅夫)に和江と結婚したい事を打ち明けますが、賛成しようとしない岩井でした。
幸雄には秘密があり、原爆に合った被爆者なのでした。

作品の途中までは特に原爆を意識したような描写はありません。
ただ二人の会話が広島弁という事と、途中仕事の最中に貧血を起こして幸雄が倒れてしまい約束を破られることもありますが、特にありません。隣のお姉さんの存在は言いますし、会話の中で兄嫁がその人の事を知っていたら嫁には来なかったかもしれないという事を言ったりもします。その人の好きな曲が「悲愴」で自殺交響曲と言われているという事もあったので、自殺未遂をしていた人だったのかとも、思いました。

岩井に幸雄は「俺は結婚する資格があるんですか」と聞きますが「馬鹿じゃな」というだけで、他には何も言いません。
幸雄と待ち合わせをして岩井と会わせてくれると言いながら会えなかったり、電話をしてきて二人か会った時に子供の時の話をしようとします。そこは原爆ドームの真下でした。
そこではじめて原爆の落ちた瞬間の話をはじめ、幸雄の両親はそれによって亡くなっていました。
原爆孤児で被爆者であることを告白します。

そこまでは普通の青春ものと思っていただけに、そこからの変化はとても意外なものでした。
放射能の影響で普通の生活ができなくなり、若い二人の運命までもそれによって引き裂かれていきます。
被爆者である以上は結婚は出来ません。いや結婚出来たとしても子供が奇形で生まれたり、本人だっていつまで生き続けられる事ができるのかがわかりません。

幸雄も原爆病院に入院して、そこからは段々弱っていきます。それをひたすら看病をする和江です。ですが段々と弱っていき、ついには亡くなってしまいます。
それを追うように自殺をしてしまう和江でした。

亡くなった時の渡さんの目が開いたままになっていて、それがまたリアルでした。
幸雄の亡くなったあとにその遺体を前に「もしこの事実を知っていたら、そっと身を引くかしら」そんな事はないと言います。
院長の滝沢修さんが和江に言います。「あなたは幸雄くんが白血病だとわかったからと言って愛する事を止めましたか?」和江は言います「いいえ」「本当の愛情は肉体や物質の条件をこえているものじゃないかと思うのです」
ここで院長が自殺というワードを和江に言っているんですね。

幸雄が亡くなったあと、明るく振舞う和江に違和感を感じました。もう割り切れたのかなって。

バンビの人形の裏に書いてあったそれぞれの名前と年齢。そのあとの救急車で運ばれる和江。薬を飲んで自殺したみたいです。運ばれていく様子を見ている隣のお姉さん。それを見る顔のケロイドの跡。このお姉さんを芦川いづみさんが演じているのですが、とても印象的です。自分の事を「死にぞこない」といい、社会からは完全に隔離されています。

ラストでは多くは語らないですが、ショッキングさがモンタージュ技法によって表現されていました。

何でもこの幸雄役はそれまでコンビを組んでいた浜田光夫さんが決まっていて、事故でそれが出来なくなって代役としてキャスティングされたのが渡哲也さんだったそうです。それまではアクション映画しか経験がなかったそうですが、初々しい感じをうまく表現していたと思います。吉永さんは言うまでもなく、きれいです。この作品がきっかけで原爆をテーマにした作品に興味をもち「夢千代日記」「母と暮らせば」や朗読会などと続いているそうです。吉永さんにとってもエポックメイキグ的な作品となったようです。
原爆投下時の作品も無惨ですが、何年もあとから被害が出てくる放射能といものは本当にこわいものだと思いました。

中尾彬さんも爽やかです。

黛敏郎さんの音楽が不気味に響きます。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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