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アンナと王様

アンナと王様

ANNA AND THE KING

147

gar********

4.0

新たな解釈でより深みのある作品に

『王様と私』の元ネタともなった、19世紀シャム王室に家庭教師としてやってきた英国女性アンナ・レオノーウェンズの手記を元に描かれる歴史ドラマ。 ミュージカル仕立てで、筋を単純化した『王様と私』に比べてより深く当時のシャムの状況や欧米列強の植民地主義的傾向を物語に織り込んでいることで、『王様…』にはない、厚みがあります。 特にそれを感じたのが王様とアンナの役作り。『王様…』のユル・ブリンナーは、確かに役との一体感という点ではもはやカリスマの域に達していますが、良く言えば天真爛漫悪く言えば単なる気まぐれな暴君というふうに、単純な役になってしまいます。 しかし、本作のチョウ・ユンファは、情勢を的確に分析し自らが統治する国が世界に生き残っていくという目標のために手を打つ戦略家としての側面、そしてなにより大勢の子どもたちの将来を考える父親の側面を演じることで、モンクット王の役をより底の深いものとしています。 一方、アンナについても、デボラ・カーが作り出したおしとやかで優雅なイギリス女性のイメージが、ジョディ・フォスターによって異国の地で夫に先立たれながらも生きるために時には敵を作り、非難を受け苦しみながらも前に進む力強さが得られたことでよりしっかりした個性を持つ女性像を作り出せたと思います。 この主役の二人に新たな解釈がなされたことで、『王様…』とはまた違う個性を持つ良い作品が生まれたと言えるのではないのでしょうか。

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