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アンナと王様

アンナと王様

ANNA AND THE KING

147

kih********

5.0

国際異文化理解の古典的教科書

 幕末の朝廷にも将軍家にも英語の家庭教師が欲しかった。タイの国ではその点で日本より優れていた。異文化に精通し、交流する能力を持っているということだ。  もちろん、この映画が誇張するように、一介の家庭教師が国政に影響をもたらすことなどあり得ない。また、アジア諸国に対する蔑視を、今でもこのように露骨に表現してしまう西欧の傲慢さも許せない。しかし、それはそれで、勝者・強者の歴史観を知る上で参考になる。  ひたすら国を閉ざすことに専念していた国では、上層部に英語を学ぶ・話すという気分は全くなかった。下級武士や西南外様藩による(紆余曲折の大混乱はあったが)開国機運の盛り上がりの際、英語を教え、西欧事情を教え、通商の知恵をつけたのは誰だったろうか。教えられたのは誰だったろうか。  他ならぬアジアの人間がアジアの国々の歴史、自国との関わりの歴史を知っていないで、西欧人のアジア蔑視に抗議するだけでは宜しくなかろう。私は シャム & タイ という国名のいわれさえ知らなかった。この頃、すでに国の最高指導者が英語を喋っていたことも知らなかった。属国としてではなく、だ。  まるでこの女性がタイ国の独立を守ったかのような不快な表現があるものの、(そういう誇張を割り引いて観れば、これはこれでいい学習映画だった。  

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