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ジェネックス・コップ (1999)

特警新人類/GEN-X COPS

監督
ベニー・チャン
  • みたいムービー 5
  • みたログ 98

4.16 / 評価:25件

ベニー・チャンの「らしさ」

  • lamlam_pachanga さん
  • 2010年7月20日 19時44分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

2000年代以降、こと「伝統的香港アクション映画」を受け継ぐ第一人者と言えば、それがベニー・チャンを指すことは恐らく衆目の一致するところでしょう。

実際のところは90年代半ば過ぎから徐々に注目を集めていた人でしたが、名実共に第一線に躍り出たのはこの『ジェネックス・コップ』から。その内容は、香港における「若者(Xジェネレーション)の台頭」を盛り込み、彼らの活躍を「型破り」に描いた警察アクション。

この映画、一体、何が新鮮だったのか?

妙に聞こえるかもしれませんが、恐らくは、「若手スター」を中心に据えた点です。

他作品のレビューでも何度か指摘していますが、香港映画界の活力でもあり、同時に足枷ともなっているのが「80~90年代のスター」の存在です。彼らの存在感の大きさに対抗出来る新人が育っていないと言うことは、この当時、徐々に指摘され始めていました。

そこに登場したのが、この『ジェネックス・コップ』。ニコラス・ツェー、スティーヴン・フォン、サム・リーの三人(それぞれデビュー作は別)は映画に爽快感(若々しさ)を与え、「無軌道な若者」が活躍するアクションと言うのは、確かにあまり見ないものでした。権力(上司)に反抗し、主張を曲げない主人公たちの姿が、それを「好し」とする同世代の若者たちを惹きつけたであろうことは想像に難くありません。

加えて、ニコラス・ツェー、スティーヴン・フォン、サム・リー、敵役のダニエル・ウーも含め、国際感覚豊かな彼らには(ニコラスとダニエルは海外育ち)、過去のスターたちにはない独特の個性も感じさせます(最も、個人的には彼ら以上に脇を固めたエリック・ツァン、フランシス・ン、中村トオルの方が強烈だったと思いますけど)。

それでも、私はこの映画を然程評価していません。

その理由は、着想こそ「物珍しい」ですが、「新鮮さ」を売りにするほど、過去作品にないドラマやアクションを描けていたとは思えないから。

これは、ひとえに監督であるベニー・チャンの責任でしょう。

彼が「アクション」を撮ることが得意なのは一目瞭然です。ジャッキー・チェンの『WHO AM I?』では監督を降ろされましたが、後に『香港国際警察/NEW POLICE STORY』で汚名挽回。『インビジブル・ターゲット』では、遂にジャッキー・チェンなき後の香港映画の未来を感じさせるアクション映画を完成させています。

ところが、その合間を繋ぎ、本来は映画の土台となるべき「ドラマ」に関しては、その描写が驚くほどに弱い。

簡単に言うと、極めて「軽い」のです。

上記の作品を含め、どちらかと言えば「ドラマ」に重点を置いた『ヒロイック・デュオ/英雄捜査線』や『ディバージェンス/運命の交差点』、或いは『プロジェクトBB』にしても、キャラクターの行動は上辺だけの描写に陥りがちで、その心理描写となると途端に浅薄になる。

これはベニー・チャンのほとんどの映画に共通する、悪癖です(私はそう思う)。

単にその描写が下手と言うだけなんでしょうが、そのせいで、せっかく純度の高いアクションをものにしているのに、映画全体は「軽薄さ」が拭えない印象に陥ることが多い。

この特徴は、『ジェネックス・コップ』にも顕著に表れています。

確かに若手スターたちの躍動は観ていて気持ちがいい。

中年のおっさんがドタバタを繰り広げていた80年代の映画と比べれば、随分と垢抜けた印象を与えます。

でも、その「個性」の描き方がどうにも「軽い」。

だから、この映画のキャラクターたちには説得力がまるでない。

悪意に満ちた表現をするなら、彼らは「単なるバ○」と紙一重です。

映画冒頭、警察学校で教官に歯向かう彼らの姿を「現代の若者」として捉えているつもりなら、ベニー・チャンは演出の姿勢を見直した方がいい。ラストの「大哥」の登場でバランスを取っているつもりなら、そんなことより脚本を練り直すべきでしょう。

色々言いましたが、最後になって矛盾する様なことを。

ベニー・チャンの映画が、特にドラマの面で軽い印象を与えるのは事実です(最近の『コネクテッド』等を観ると少しは変わりつつある様ですが)。

しかし、それこそが彼の魅力だとも言えるのです。

「ストーリー」を飛び越えていく「アクション」。

香港映画のアイデンティティーでもあるそれを撮れるのは、今のところ彼くらいのものだし、逆に言うと、(ドラマ以上に)アクションへ傾けるイマジネーションが豊富な彼だからこそ、それを撮れるのではないかとも思います。

だから、お気軽でお手軽な「香港映画」を愉しみたい人には、私はベニー・チャンの映画をお薦めすることにしています。

詳細評価

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演出
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音楽

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