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グリーンマイル

グリーンマイル

THE GREEN MILE

188

yam********

4.0

ネタバレ品のある死刑執行

20年ほど前に発売に合わせて原作を読んでいました。原作は短い文庫本を6カ月連続で発刊して、半年かけて完結にたどり着くというちょっと変わった発売形式でした。そんなわけで、半年間かけてじわじわと読み進んだので、20年経過した今でもざっくりと内容は覚えていたし、登場人物の名前も一部記憶していました。映画の方はようやく今頃になって鑑賞しました。 不思議なヒーリング能力のあるジョン・コーフィが殺人事件にあった少女姉妹をその能力を使って治癒しようとします。ところが、すでに姉妹は完全に命を落としており、コーフィの能力でもどうすることもできません。血まみれの姉妹を抱きかかえ、「間に合わなかった」と泣いて途方に暮れているところを発見されて、殺人犯と間違えられてしまいます。そして、そのまま死刑囚に。 コーフィはごつい体のわりにはとても心優しい天使のような男です。コーフィは自身の不思議な能力を使って収監中にさまざまな奇跡を起こします。物語は、そのさまざまな奇跡に焦点が当てられています。看守たちはコーフィの無罪を確信します。弁護士にもかけよります。コーフィに脱獄の提案もします。しかし、コーフィは、死んでいくことを選びます。「生きていくことにつかれた」と、「生まれてきたことを申し訳なく思う」と言葉を残します。うん、いじらしい。うん、せつない。 僕が印象に残ったのは、コーフィが電気椅子にかけられていく際の静かな描き方です。音楽がやたらと大きくなることはありません。役者さんたちが、大声張り上げて鬼気迫る演技を見せることもありません。静かな音楽と、静かなやりとりでできています。死刑執行についてやりきれない気持ちを抱く看守たちの葛藤は、電気椅子作業をする際の複雑そうな表情と、微妙な間、抑えきれない涙で表現されています。そういったせつなさの表現だったので、死刑執行という惨たらしいシーンであったにもかかわらず、品がありました。 また、ヒーリングを受けた後の長寿の副作用ですが、原作では、「救済と呪いの間には本質的なちがいなどなにひとつない」ということを主人公は悟ります。尿管の病気を治してもらった主人公ですが、同時に生き続けなければならないという運命も背負います。それは呪いにも等しいものだと。原作では、主人公の妻は孫の卒業式に出席する際に交通事故で亡くなることになっています。主人公も妻と同じバスに乗車し、事故にあいます。妻は、ほぼ即死でした。主人公はかすり傷だけです。そのようにして、愛する人の死を何度も見送り続けることに苦しみます。 グリーンマイルとは、電気椅子へと続く通路の名称です。原作は「ときにグリーンマイルはあまりにも長すぎる」と物語を結んでいます。グリーンマイルという言葉が頻繁に出てきますので、最後の一文が非常に印象深いです。映画も同じようなニュアンスの結びの言葉ですが、感慨深さは薄かったなあと思いました。

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