ア二メ製作者の『良心』が伝わる映画です
- 諸星大五郎 さん
- 2007年8月29日 21時50分
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- 役立ち度 82
- 総合評価
映画ならほとんどのジャンルを鑑賞するのだけれど、私にはふたつまったく鑑賞しない苦手中の苦手としている映画のジャンルがある。
実写の動物が言葉を話す映画とアメリカのア二メーション映画。
本作監督のブラッド・バードの『Mr.インクレディブル』も『レミーのおいしいレストラン』も評価が高いということは知っているのだが、どうにも観る気にならない。大味な感じがして喰わず嫌いなのだ。
しかし本作、私のお気に入りレビュアさんたちが絶賛しておられる。一年にわたって毎日レビュを読んでいると、おススメしていただくその力の入れ方で、「これはただものではないな」ということがなんとなくわかるようになってくる。おそらく本作はかなり面白い映画なんだろう。しかし、そうは言っても、私にとっては最苦手ジャンルの映画だから、他の作品を優先してなんとなく、ずるずるDVDレンタルを先送りにしていたのだった。
今日、ようやくヨメと鑑賞。
まったく唸ってしまった。心からふたつ反省。
アメリカのア二メにこんな秀作があるにもかかわらず、ぐだぐだ知った風なことを言っていたこと。
それから、本作をもっと早く鑑賞しなかったこと。
舞台は米ソ冷戦の時代。アメリカの田舎街に宇宙からやってきた正体不明のロボットと最初の発見者の少年の物語。
レビュアさんたちが苦労して本作の素晴らしさを伝えようとしていたこと、こうしてレビュを入れていると良く分かる。
これだけ優れたお話、ネタバレしてはならないし、さぁ、どうやって伝えよう。私と同じようにアメリカのア二メは苦手、人物も背景もまさにハンバーガーみたいで、やっぱり和食は繊細だ、と思ってらっしゃる方も多いだろうし、所詮子ども向けだろう、とお考えの方も多いはず。
私も斜に構えて観始めたのだが、このアイアンジャイアントくんの背負った運命。その重さ。彼を支えようとする少年。少年を理解しようとする隣人。ぐいぐい引き込まれる86分。
複線もたいへんよく張り巡らされていて、クライマックスでは、そのすべての複線が繋がっていく。圧巻である。
子ども向けと侮ってはならない。時代背景としている米ソ冷戦の構造が、この際、たいへん良く効いてる。ア二メ製作者たちが、子どもたちに伝えたいこと、平和・勇気・友情 その良心的なテーマ性がひしひし伝わってくる。
状況が一変するクライマックスの緊張感にはたじろぐほどだ。映像は迫力十分、ロボットのメカニカルもツボ、音響も良し。トーンはどことなく哀しい。
こうなると泣けてしまってもうダメだ。
ヨメと二人で、またしてもぼろぼろ泣いてしまいました。
今年は高率で良作映画にめぐりあう。これは、確実にレビュアさんたちのおかげです。
私も本作「アイアン・ジャイアント」お気に入り映画に登録決定。
微力ながら本作の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。
みなさまにもおススメします。
ご家族のみなさま
小さなお子さんの鑑賞にも残酷シーンはありませんし、大人の鑑賞にも十分耐えるア二メの秀作です。
ご家族みなさんで、ぜひご鑑賞ください。
詳細評価
イメージワード
- 泣ける
- ファンタジー
- 勇敢
- 切ない
- かっこいい