草食系男子の誕生
- hsa***** さん
- 2019年6月2日 15時16分
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男二人女一人の三角関係はたくさん描かれているがこの作品は異彩を放っている。三角関係の期間が長いのだ。最終的にはカルトチックな悲劇を迎えるが、そこに至るまでの軌跡が興味深い。
トリュフォーは一貫して、強制するものを軽蔑する姿勢を崩さない。自由な心で愛を選択できるか、という問いだ。あたりまえのようで、実は難しい。心は大抵ムラを生むからだ。この映画のスゴいところは、長い時間、人を愛し続けることの難しさとそのムラを同時に描いている点だ。特殊な三人といえばそれまでだが、戦争で敵になっても続く友情とか、同時に複数の男を愛せるが、誰の子供か解らなくならないように配慮する女とか、独特かつ強烈なモラルが描かれている。日本ではなんでも自己中で片付ける風潮が蔓延しているが、愛についての想像力が金の計算力と同じというお国柄を反映している。ろくな恋愛のフィクションが生まれないのも仕方がない。
映画史的にいえば、トリュフォーはルノワール、ロッセリーニの系列だ。この作品もルビッチの生活の設計というより、ルノワールのゲームの規則に近い。トリュフォーにコメディは撮れない。愛に死す、を美徳とした過去のフランスの話だ。戦争や商売で死ぬより愛に死んだほうが人間的といえるのではないか。
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