恋愛感情が沁みてこない。
- Kainage_Mondo さん
- 2020年5月17日 16時32分
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新型コロナウィルスが猖獗を極め、世界の感染者数&死者数は増え続けている。日本でも緊急事態宣言が出され、主要都市では未だ解除に至っておらず、映画館は閉鎖が続いている。これから世界はどうなるのか ? コロナウィルスは ? 経済は ? そして映画は ? などと考えていても切りが無いので、未見の旧作めぐりをしている 第6弾 が本作。1961年 フランス映画 である。
フランソワ・トリュフォー監督 ( 以下敬称略 ) には大学時代かなり嵌っていた。これまでに 11本 の作品を映画館で観ている。1971年「恋のエチュード」以降はほとんど全作品を観ているが、初期の傑作と評判の高い本作は、気になっていながら観る機会が無かった。今回、気合を入れて観たのだが ・・・
1912年 パリ で物語の幕が開くが、ベル・エポック 終末の パリ の雰囲気は省略され、描写は ジュール ( オスカー・ウェルナー ) と ジム ( アンリ・セール ) の友情や、カトリーヌ ( ジャンヌ・モロー ) との関係に集中するのだが、この連中どうやって食ってるの ? と訝しく感じてしまう序盤だった。出版社云々の言葉から、2人 の男性は 物書き を生業としているらしいのだが、仕事のシーンは皆無で、いつもふらふら遊び暮らしているのだね。ジュール のパリの住居や、後段 ライン川上流の別荘の立派なこと ! 高等遊民などと云う古臭い単語が浮かんで、感情移入の妨げになった。
それにしても カトリーヌ ( モロー ) の人物設定が本作の魅力のすべて ! そう言っても過言ではなかった。第一次世界大戦が終わったあと、物語はいよいよ佳境に入るのだが、彼女の多情さ、激情のままに行動する奔放さに、結婚して彼女を手に入れたかに見えた ジュール も、婚約者がいながら彼女に恋する ジム も、さらには アルベール ( ボリス・バシアク ) なる男性も、大いに振り回されてしまうのだ。本作の製作時、本当に 32歳 だった ジャンヌ・モロー に、じつは トリュフォー監督 も魅入られていたのではないのだろうか ? 彼女にフルコーラスで一曲 歌わせるとは驚いた !
この歌も、ある時は軽やか ある時は適当 ? だった音楽も、かの ジョルジュ・ドルリュー ( 1973年「アメリカの夜」がご機嫌 ! ) の作曲だったらしい。本作、映画史にのこる傑作とまでは言えないが、トリュフォー監督 のテイストは十分楽しめる佳作だった。
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