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サイダーハウス・ルール (1999)

THE CIDER HOUSE RULES

監督
ラッセ・ハルストレム
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  • みたログ 2,933

3.93 / 評価:654件

希望の祈り GOOD NIGHT・・・ 

  • tis***** さん
  • 2008年10月15日 6時54分
  • 閲覧数 1078
  • 役立ち度 34
    • 総合評価
    • ★★★★★

孤児院で生まれた彼は、多くの誕生と多くの死を見てきた。

父親のわからない、若しくは父親に父親を放棄された子供達。
ここでの死は
青空も、海も、言葉を発することもなく、奪われる、生きる事をさせてくれなかった死。

焼却炉に登る煙を見つめては、
広がる空の繋がりに、この世の大きさを感じていた。

「この場所以外の場所を知りたい」

愛されている事も、必要とされている事も知っている。
だが彼は孤児院で見てきた子供達の成長をただ見つめるだけでなく、
自分の成長に何かを求めている。

思ったことはないだろうか。

自分の場所ってどこだろう。などと。

今いる場所の暖かさや優しさを感じるのには、その場所を離れねば感じられない。
日々単調だと、日々何か無いかと高揚する自分の希望の気持ちを、
今の場所では叶えられないなどと思った過去は無いだろうか。

たった一本の映画を繰り返し、繰り返しみる。
上映のたびに孤児院の子供達は騒ぎ、はしゃぐ。

全員がベットに入り物語を聞く。

まるで家族のように。いや、家族以上に深い愛情に包まれて。

翌日、今まで笑いあっていた兄弟以上の存在がそばに居ない。
そう、「親が見つかった」のだ。
正式には「親となる人が、子供となる人を見つけた」のだ。

作品中、最も涙が出た場面。
「祈り」
である。

旅立った子供達を、幸せにね。と祈る。

知らない世界へ旅立ち、この場所よりも暖かい場所へ行ったのだと願う。

Drラーチに育てられたホーマー。
彼はいよいよ旅立つ。その祈りを背負って。
心配も、不安も、残された人々への寂しさもかみ締めて、希望という光へ向かって。

初めての「友」
初めての「恋」
初めての「仕事」

新鮮で、快適で、心地よかった。
汚いベットのひしめく「サイダーハウス」であっても彼には始めての「他人」との生活なのだ。
快適な気持ちだ。

Drラーチの愛情を知る時には、彼はこの場所で、離れた場所で、一人の男として成長している。

孤児院のルールで育った彼。
今度は世間のルールで社会を知る。
そして、サイダーハウスのルールで「ルール」という決め事では、
何も定まらない事も、嫌というほど知っていく。

当然、自分に引いたルールさえも無力であり、定めを破る事も必要だということも知る。

初めて海を見た。

初めて「死」を見た。

沢山の死を見てきたはずの彼の目に写った死。
生きた人生があったからこそ、死の重みがのしかかる。

外へ出してくれた、この場所を与えてくれた「友」
それもまた、彼に人生を見せる。

疲れたのではない。
彼は気づいたのだ。

自分のいるべき場所に。

映画を観て涙を流す自分自身に自然と問いかけた。
「今、いる場所、もう一度そこをよく観よう。」
「今まで自分が存在した場所、それをもう一度かみ締めよう」

そして、いつの間にか固まってしまった自分の中の定め、破り捨てるまでは行かなくても、
そこに新たな定めを追加しよう。

きっとそうする事で、今いる場所の真の価値が見えるのだろうと。

孤児院での祈りの言葉、寝る前の祈り
Good Night・・・・その後に続いた名前の人々に幸せが必ず訪れるようにと。

成長した彼の「父親」となった姿、Drラーチの愛情は届いたようだ。
海で拾った丸くなったガラスの破片のように、美しく磨かれて・・・・・・。




追伸
お気に入りのレビュアーさん、及び、ここにレビューする皆さんのおかげで鑑賞。
心地よい作品でした。
まだまだ沢山のこういった作品に出会いたい。
ありがとうございました。

詳細評価

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