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トト・ザ・ヒーロー (1991)

TOTO LE HEROS

監督
ジャコ・ヴァン・ドルマル
  • みたいムービー 76
  • みたログ 285

3.85 / 評価:88件

老人の妄執映画

  • bar***** さん
  • 2019年4月1日 18時05分
  • 閲覧数 130
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

トト・ザ・ヒーロー。ベルギーのドルマル監督作。

老境の男が主人公であり、恨みや嫉みや後悔と共に過去を回想するという流れになっています。こう書くとネガティヴな映画だなと思われるでしょうが、意外とかわいい演出のある映画です。

主人公のトマがそういった情念を抱くきっかけは、赤ん坊のころに病院が火事になって、混乱の中取り違えられたため、不幸な境遇に落とし込められたと信じ込んでいること。妄想なのか事実なのかわかりませんが、トマが前進できずいじけ続けているのは、その情念がくすぶり続けているせいだと思います。

もう一人の取り違えられた方というのが、隣の家に住むアルフレッドという金持ちの少年。トマは彼からいじめられます。トマは空想力が強い少年で、幻想の中でヒーローになる夢を見続けます。

姉への恋と、姉にまつわる悲劇、そして虚ろな日々……トマは「自由」という言葉を知らなかったのだと思います。自分に自信が持てないまま、弾力のない日々を送る。姉にそっくりな女性と出会い、恋をするも、それがアルフレッドの妻だったと知って、トマは絶望してしまう。

そして老年のトマ。いまだに過去のことで悩み続け、アルフレッドを殺す夢を見ます。ここからは作品の一番大事なシーンに触れることになりますので、何も言いませんが、劇的なラストでした。


私は小説的な映画だったように思えます。テーマも文学的です。トマは少年のまま年老いてしまったのかもしれません。その悲しみと特異性を表現する映画だと感じました。最終的に彼は自由を得るわけですが、それは、アルフレッドの境遇を知ったことで道を見出し、体から自由になることで完成させたのでした。

ただ、こういったことを映画でやるのは難しいと思います。小説の言語と映画の言語というのは全く違います。それを正確に区別できていないため、このような味わいの渋い映画にできてしまったのではないかと思います。

言いたいことは面白いし聞きごたえがある。けど映画として楽しくない。そういう映画は結構あるものです。おそらく小説の中編で読んだら面白かったと思います。このテーマで映画を作るとすれば、数々の商業的な演出は避けて、タルコフスキーのように、正確な象徴的表現を駆使し、美麗な絵画的シーンを撮ることを気を付け、「間」や「音」などといった空間性・持続性も意識して奥深い表現を行うようにしなくてはならないと思います。そうでなければ視聴者はテーマを拾い上げるのに苦労することでしょう。なぜならテーマのための表現と実際の表現に矛盾と乖離が多くみられるからです。

この映画の大半の表現は商業的映画のそれです。つまり底が浅く、劇的であり、点としての表現であり持続性がない。しかしテーマは奥深く文学的なので、結果掴みどころがない作品になってしまいました。商業的映画ならば見逃さない数々の面で、この映画は観客の期待を満たすために何もしておらず、代わりに全体的な奥深いテーマのためにいくつかの素材を用意するだけです。もし商業映画ならもっと丁寧に観客の興味を引っ張ります。その数々のポイントがあります。だから視聴者は混乱します。それは正確な表現の区別をこの監督が理解していないためです。

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