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カリスマ (1999)

CHARISMA

監督
黒沢清
  • みたいムービー 21
  • みたログ 269

3.00 / 評価:67件

バランスを保つための秩序付け

  • 仙台っ子 さん
  • 2011年4月8日 10時38分
  • 閲覧数 1464
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作は、人間のある種の滑稽さを描いた作品だと思う。
“カリスマ”という木を巡る、大の大人たちの骨肉の争い。

ただそのカリスマという木を見てみると、色は白っぽく、やせ細っていて、曲がりくねっている。自分たちの生活をかけてまで守るべきものには到底思えない。
この木は周囲の若い木から毒素によって枯れさせてしまうが、周囲の木は何故かこの木に寄ってくる、という説明があるが、果たしてそれは本当なのだろうか。

そうやって主人公の刑事は周囲の人々に翻弄されるのだが、人間が勝手に1本の木を“カリスマ”と権威付けして、周囲の現象をそれに結び付けて、ある意味神格化しているだけに過ぎないような気がする。

ただ、そのことによってこの森に住む人々は秩序やバランスを保っているのではないだろうか。
だから、この木が切り倒され、燃やされた途端に、人間たちが命を落としていく。

本来は無価値なもの、価値があってもはっきりとは見えないものに何かはっきりとした形で価値を付随しないと生きていけない人間たちの姿。
それは現代にも通ずるものがあると思う。
そんなものを絶対化する人間はやはり滑稽であり、しかしそうしないと生きていけないのが人間なのだと思う。

ただ、黒沢清の映像は全てにおいて、何か意味ありげに感じる。
静と動、遠と近といったリズム、わざと障害物を前に置いて画面を見づらくしたり、はっきりと対象を映さず、観客に目を凝らすことを要求したりする。
とにかく1ショット1ショットの構図が非常によく練られていて、力強いのは確かだ。

だがそれ故、難解さも常に付きまとう。
そのタイミングにそのショットを持ってくる必然性を探り、自分なりに解釈する作業が断続的に続いていくのである。
そのショット全ての意味が分かれば、きっともっと深いテーマを描いていることに気づけるのかもしれない。
本作を観終わって、そう思ってしまった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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