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また逢う日まで (1950)

監督
今井正
  • みたいムービー 14
  • みたログ 53

3.50 / 評価:16件

日本映画が誇るラブストーリー

  • daw******** さん
  • 2010年1月10日 0時49分
  • 閲覧数 1054
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

窓越しに交わされるキスシーン。余りにも有名なこの場面は
日本映画史上に残る名シーンとして今に語り継がれていますが、
かように、このシーンが、とてつもなく強烈な印象を放った
だけに、かえって、作品の内容自体は忘れ去られてしまった
ような気がします。そういうわたしも鑑賞する前は、
お涙頂戴的なメロドラマのようなもので、例のキスシーンも
時代が時代なだけに何らかの規制があって、直に唇を触れる
ことが出来なくて止むを得ず、ああいう風になってしまった
ものだと勘違いしていました。

実際のところ、キスシーンは何度かありまして、その一つが
例の窓越しのものなのですが、去り行く三郎を窓際でせつなそうに
見送る蛍子のもとへ、ゆっくりと歩み寄り自然な流れで窓に唇を
寄せる。とても美しい絵です。他のキスシーンもそうなんですが、
どれも美しく感極まってくるんですね。こう言うと、年寄り臭い
ですが、最近のは嫌らしさが先に出て表現は悪いのですが、
そっち系のと区別がつきません。時に不快感を催す場合も
あります。それにしても、昭和25年製作なわけですから今から
60年近くも前にこれほど見事なキスシーンを撮ったということ
には正直、驚きました。勿論、大学生の三郎役、岡田英次さんの
クールな振る舞いと、何と言っても蛍子役久我美子さんの内面から
滲み出てくるような気品ある美しさがこの名シーンの演出を可能に
したわけですが、何よりプロットがしっかりしているということが
この場面に光を与えているのだと思います。
さすがは「青い山脈」等々を撮った今井正監督です。

昭和18年、空襲下の東京。大学生の三郎(岡田英次さん)は
空襲警報が鳴り響く地下ホームで絵描きの螢子(久我美子さん)と
出会います。一目で恋に落ちる二人ですが戦局は、悪化の一途を
たどって、ついには三郎に召集令状が届きます。
出征の日、最後に2人で逢おうとするのですが、ここでも苛烈な
運命がまた2人を襲うのです。

モノローグやナレーションが多くて、普通であれば、あまり好きに
なれないタイプなのですが、この作品の場合、ストーリーと巧く
絡んでいて、あまり気になりませんでした。むしろ、伏線として
しっかりと作品を引き締めていました。台詞回しや演技は、どこか
ぎこちないように見えすべてが芝居がかったいて、舞台でも
見ているような気になりましたが、おそらく当時はこういう演出が
主流だったのでしょう。また、戦時下にしては、いちゃいちゃ
しすぎで、これじゃあ憲兵に連れて行かれるぞと思ったりもしまし
たが、途中からは気にならなくなりました。苦しいまでに純愛を
追求しながら、しかも時代の切迫感がしっかりと伝わってくる
作り方がよかったのだと思います。ラストシーンも御見事としか
いいようのないもので、余韻で涙が出てきたほどです。
よくこの時代にこれほどの作品を撮れたものだと本当に感心します。
世界にも通じる名作だと思います。

是非是非、機会があれば御覧下さい。

それにしても久我美子さん、当時19歳ですが気品ある美しさには
感嘆してしまいます。若干15歳で、戦後すぐ昭和21年の
東宝第一期ニューフェイスに合格しますが何と、華族の家柄。
太宰治の「斜陽」を地で行くような感じでしょうか。
久我さんと言えば旦那さんは亡くなられた平田昭彦さん。
特撮物には無くてはならない俳優さんでした。

ピッタシかんかんのオトボケキャラもお気に入りでした。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • ロマンチック
  • 絶望的
  • 切ない
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