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刺青 (1966)

監督
増村保造
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3.89 / 評価:37件

怒涛の勢いに圧倒される傑作

原作・谷崎潤一郎、脚本・新藤兼人、主演・若尾文子と「卍」と共通。江戸時代、質屋の娘・お艶(若尾)は手代の新助と駆け落ちするが、手引き先の男に騙され、新助は人を殺し、お艶は女郎屋に売られてしまう。刺青師の清吉に女郎蜘蛛の刺青をいれられたお艶は芸者として生きることに。

「清作の妻」とともに増村・若尾コンビの最高傑作と言って良いのではないだろうか。撮影は名手・宮川一夫(「おとうと」)。目に眩しい若尾の衣装や白い肌、お艶の背中でうごめく女郎蜘蛛の妖しい美しさなど、鮮やかな映像はさすがの仕事。

描いているのは男女の情念の世界なのだが、湿っぽさがなく、殺伐としたカラカラ感が顕著。江戸を描いても日本的情緒に支配されない、増村監督の個性が全開。加えて若尾の堂にいった悪女ぶり。女郎蜘蛛のシーンはおそらく吹き替えが大部分なのだろうが、それ以外にも美しい肌を充分にさらしての熱演だ。

うじうじ暗い新助と対照的に、お艶の徹底した吹っ切れ感が恐ろしい(男としては新助にちょっと同情するが)。女郎蜘蛛により悪女に変わったのか、女がもともと持っていた魔性が女郎蜘蛛により開花したのか、ともかくもお艶に近づく男たちは、次々に悲劇的な死を迎える。自分を食い物にする男たちへの復讐劇。怒りを内に秘めたお艶の姿が妙に美しかったりする。だが女郎蜘蛛は諸刃の剣のように彼女の命も奪う。新助・お艶・清吉が折り重なって死んでいくラストはあまりに壮絶で、その怒涛の勢いには呆然としてしまう。

まぎれもない傑作。

詳細評価

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