陸軍中野学校
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(15件)


  • le_********

    5.0

    優れた脚本とキャスティングが奏功

    監督:増村保造、脚本:星川清司、撮影:小林節雄、編集:中静達治、音楽 :山内正、主演:市川雷蔵、加東大介、小川真由美、1966年(昭和41年)、96分、配給:大映 1938年10月、三好次郎陸軍少尉(市川雷蔵)は、所属する連隊で草薙中佐(加東大介)の訪問を受け、次々と質問を浴びせられる。一週間後、三好は、陸軍省に出頭せよとの極秘命令を受け、母と許嫁の布引雪子(小川真由美)には出張と偽って東京に向かう。 翌朝、三好をはじめ18人の若い陸軍少尉は、靖国神社参拝後、九段下のバラックに集められる。草薙は、1年間のスパイ教育と、軍服着用や軍隊用語の使用禁止、家族や友人・恋人との接見・交際・交信禁止、を命じる。草薙は、陸軍士官学校出身の純軍人で構成された参謀本部とは違い、世間離れしていない優秀なスパイを養成すべく、陸軍予備士官学校出身者である彼らを集めたのである。そこで様々な訓練を受け、講義を聴いたが、その後彼らの本拠は、中野電信隊跡に移った。ここでは、諜報において必要な技術、変装、ダンス、刑務所から借り出した金庫破りによる錠前の開け方、生理学者による女体の性感帯の知識にいたるまで、スパイとして必要なさまざまな知識・技術を習得していく。 一方、音信不通の三好の居場所を尋ね歩くうち、陸軍参謀本部の前田大尉(待田京介)と知り合いになり、参謀本部の暗号班に、タイピストとして勤務することになる。そこで働くうちに、三好の消息を知ることができるかもしれない、と考えたからであった。・・・・・・ 三好という男の生きざまやスパイとしての成長ぶりを、陸軍中野学校の誕生から帝国陸軍の一機関となるまでの経緯や、中野学校と参謀本部の対立までを絡めて描いた脚本がすばらしい。三好が訓練を受ける過程では、18人の生徒らの集合しているシーンが多いが、三好にほとんど語らせず、周囲の生徒に台詞を預けることで、三好の心中を観る側に推察させていく演出もよかった。 言わば、スパイ養成物語なので、美しいシーンや屋外シーンなどはあまりないが、三好と雪子の関係がもう一つの軸に置かれており、二つの軸を揺れるという脚本の基本が確固としているので、退屈を感じない。冒頭に、三好と母(村瀬幸子)、そして雪子のシーンを置いたことで、<前置き>の重要性を熟知していることがわかる。 スパイとして成長した三好が、事実上、英国のスパイとなった雪子に対し、かつての恋愛感情などは全く消え、スパイが売国奴を殺すという図式に変化していることで、三好のスパイとしてのプロ化と同時に、三好がそこまで冷酷な人格に変貌を遂げていることに、任務とはいえ、恐ろしさを覚える。このあたりの市川雷蔵の表情の変化や抑えた演技はみごとだ。 どちらかと言えば喜劇風味の加東大介、早川雄三、ヤクザ映画で有名な待田京介を、軍人役に起用しているところもキャスティングとして成功している。小川真由美も、珍しく清楚な役回りだなと思いきや、ラストではベッドシーンでの出番となった。

  • bar********

    5.0

    ネタバレ歴史的厚み

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • yok********

    4.0

    冷酷だわ。

    純真で冷酷なスパイの役が市川 雷蔵氏にぴったりで惹き込まれた。 小川真由美さんも美しい。

  • jir********

    3.0

    良い脚本

    スパイ学校の授業風景などを延々と見せられ「これがどう物語になっていくのかな?」と見ていたら、次々絡み合って行くストーリーに舌を巻いた。 取ってつけたようと言えばそれまでだが、婚約者との悲運な運命の翻弄に目が釘付けになった。 そして、それより気になったのは、草薙中佐が生徒たちをスパイ活動に引っ張りこむ文句 「日本の陸軍が一番悪いからそれを倒そう!」と。 やっぱ、日本の軍隊って悪かったんじゃんと認識させられた、後政府の上層部は植民地拡大と戦争での手柄しかかんがえていない、とも 実際はどうであれ、当時の認識はこうだったんだなと思った。 今は当時を知らない人たちの異様な愛国心が叫ばれているのでちょっと冷静になろうぜ、と。 エリート集団なのに狂気に走っていく様も面白かった。 やっぱ高すぎる理想とかは持たずに程ほどが良いよね、手段がおろそかにならずに済むから。 ちなみに笑った箇所が一つだけあって、女性の体の喜ばせ方の授業風景で教官が 「女性の性感体は首、耳筋すじ、脇、そしてもちろん・・・」 と、いうと画面がさっと変わる所。 その続きは野暮だぜ・・・?といったニュアンスなのだが、こっちからしたら男の教官の口からのそんな話し聞きたくもないよ(笑)、と。 ちなみに戦争が終わったと知らずに一人戦い続けてきて30人あまりを殺していた小野田さんは陸軍中野学校出身で、それで当時話題になった映画らしい。

  • じぇろにも

    4.0

    ネタバレ日支 両軍交戦

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • いやよセブン

    5.0

    市川雷蔵の当たり役

    陸軍の幹部候補生のうち、優秀なメンバーが集められ、スパイに養成される。 みんな過去を捨て、戦士したかのように扱われる。 主人公(市川雷蔵)の婚約者(小川真由美)は英語のタイプが出来たため、参謀本部暗号解読部門で働き始める。 スパイ養成の最終段階で、イギリスの暗号コードを盗むことに成功するが、情報が漏れ、コードを変えられてしまう。 主人公は暗号解読部門を疑い調べ始めるが、婚約者が関わっていることがわかる。 ハードボイルドな日本のスパイ映画の傑作だと思う。

  • kor********

    4.0

    失うことに慣れてしまったら

    数ヶ月前に「小野田寛郎」という名の男性が亡くなった。戦争終結から29年目にしてルパング島から帰還し、祖国のために健全な若者を育成したいという要望で「小野田自然塾」を高齢ながらも主宰し、祖国のために精力的過ぎるほど一生を尽くした人物であった。 市川雷蔵の当たり役として語り継がれる名シリーズであるが、スパイ養成所として軍が秘密裏に設立した陸軍中野学校は実在した学校である。小野田寛郎はその学校を退校した一人だ。(中野学校は軍歴を残さないため「卒業」ではなく「退校」を使用した) 情報活動や諜報活動のエキスパート養成のために設立された特殊な学校。家族との縁を切り(作中は多少大袈裟に脚色されていると思うが)恋人との別れを決め、祖国の栄光のために己の将来を犠牲にする若者達。特殊な環境だから生まれる感情や、人間関係の絆にスポットを当て、団体生活における人格形成や行動などを記した人体実験にも見えてしまう物語であるが、雷蔵の淡々としたナレーションに人生の源となる情熱を失ってしまった無気力さを感じてしまう。 私は家族も、恋人も、友人も捨て29年間という想像も尽かぬ巨大な時間を祖国に捧げられるだろうか?

  • sky77

    5.0

    ネタバレここに非情なスパイ誕生す

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • ker********

    4.0

    雷蔵様、異常なし!

    なぜだろう。 CGも特殊効果も使っていない白黒映画なのに こんなに見ごたえがあるなんて。 テーマが重いからでしょうか。 戦争映画ですが、スパイという視点からのもので ぐんぐんひきこまれました。 途中のスパイ教育では、現在だとどうしても笑ってしまうものも。 でも、かえって時代を感じます。 観終わった後は、やっぱり戦争はしてはいけない、と 妙にリアルに悲しくなりました。 お涙頂戴ものは絶対に観ない私ですが このような反戦映画はよろしい。 反戦映画ですよね? 雷蔵様は無表情ですがかっこいい。 スパイなのだからむしろこれでいいのです。 演技力うんぬんを雷蔵様について語るのは野暮ですね。 シリーズを制覇したくなりました。

  • bac********

    3.0

    人生の皮肉

    三好次郎は日本陸軍のスパイとなり、彼の婚約者は英国スパイの手先になるという皮肉。 さらに、スパイ養成機関で身に付けた技術で彼女を毒殺し自殺を偽装するという皮肉。 母親や婚約者を捨てなければならない非情さと、人生の皮肉が際立っている。 市川雷蔵はクール。スーツもよく似合う。 どこかの国の体力勝負の情報部員よりも、知能で勝負している。

  • dqn********

    3.0

    新設スパイ養成学校の苦闘

    市川雷蔵主演のスパイシリーズ第1作。佐藤優氏(『国家の罠』など)の活躍でインテリジェンス機関に関して注目されたことは記憶に新しいが、本作は戦前に実在したスパイ養成機関「中野学校」が舞台。と言ってもスパイ・アクション物ではなく、新設された学校が軍部内に認知されるまでの、1人の教官と18名の候補生の苦闘がポイント。 常に冷静さが求められるスパイという職業に、クールで知的な雷蔵はピッタリ(背広姿もカッコ良いですね)。逆に教官役の加東大介は、情に篤い親分といった感じ(候補生も彼の情熱に動かされている面が大)で、インテリジェンス機関に似つかわしくなく(体型的にも。ごめんなさい)、少し違和感があった。 突然姿を消した三好(雷蔵)の行方を追う婚約者の雪子(小川真由美)が、そのせいで英国のスパイになる展開が皮肉。英国のスパイと判明し、ついには雪子を殺さなくてはならなくなる三好は、冷徹に公的義務を優先させ雪子を毒殺する。ここら辺のべたつかないドライさは増村監督らしいが、ラスト三好が雪子の手帳を焼く(=彼女の想い出との決別)シーンには感傷的になった。

  • mar********

    4.0

    ネタバレ面白かった。かっこよかった。続きが観たい

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • sei********

    4.0

    日本のスパイ映画ならこれ

    池袋・新文芸座 増村監督特集にて鑑賞 日本陸軍のスパイ要請機関である陸軍中野学校の実態とその活動を増村監督が描いた。 詳しくは内容書きませんが、恋人との再会シーンはいくらでもお涙頂戴にできるのだが、あっさり処理している。 そりゃショーンコネリーやトムクルーズみたいなスーパーマンがいればいいけど、あんなん有り得ないでしょ? 増村監督は冷静でした。 スパイものは、どうしてもアクションや騙し合いに飛躍しがちなのだが、市川雷蔵を筆頭に皆が勤勉で熱意がある日本人の特性満載のスパイとして描かれており、そして戦争に運命を翻弄されるという現実を背景に、皆が訓練を通じて団結していく様がとても潔く見える。 よって、日本仕様の、良くできた作品かと思うのです。

  • 稲野利哉

    4.0

    雷蔵の独特の雰囲気

    何といっても、雷蔵の独特の存在感をかいま見る事ができる。 こんなクールにそしてシビアになり切って演技できるのは、 雷蔵以外には居ないであろう、あの無表情さが、たまらない そして、さらにこの映画の独特の雰囲気をかもしだしているのは、 雷蔵自身のナレーションである。 個人的には、あの鈴木瑞穂に匹敵するくらいのナレーションであったと思う、

  • syu********

    3.0

    懐古趣味に趣向を凝らした本邦スパイ映画

    日本陸軍の諜報員養成機関といわれる陸軍中野学校の実態とその活動を描く邦画では、珍しいスパイ映画。実在した諜報部員養成施設を舞台にした異色作。世界情勢も漸く緊迫の度を加えて来た昭和十三年、わが国にはじめて諜報機関員を養成する学校が誕生した。のち陸軍中野学校とよばれた、このスパイ養成機関には、日本各地の陸軍師団から優秀な青年将校が選び出されて、秘密裡に入学させられた。肉親との連絡はもとより、戸籍まで抹消されて厳しい訓練に耐え抜いた陸軍中野学校第一期生の一人に焦点をあて、秘密戦士としての使命に青春のすべてを捧げた若者哀歓を、ドキュメンタルに描くのがこの作品のモチーフである。 《陸軍中野学校》は日中事変のすぐ後に創設されたという、伝説のスパイ養成所である。中野の電信隊の跡地にあったと噂に聞くが、記録も関係者の有無も曖昧で、戦後五十年のいまとなっては、調べようのない幻の学校なのである。一般の若い将校が十八人、秘かに集められ、軍籍も戸籍も抹消された影として生きることを命令されるところから、この不吉な物語ははじまる。変装、暗号解読、拷問、暗殺・・・・・スパイに必要なあらゆる技術が教え込まれ、彼らはだんだん《人間》ではなくなっていく。抑揚のない低い声と、少しも動こうとしない表情の雷蔵は、そんな非情な世界の住人にぴったりだった。「スパイの本義は“誠”の一字につきる。諸君は大陸や東南アジアの民衆の中に入り、彼らの友となって民族独立を助けろ」

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