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陸軍中野学校 (1966)

監督
増村保造
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3.93 / 評価:41件

歴史的厚み

  • bar***** さん
  • 2017年9月18日 18時51分
  • 閲覧数 369
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

陸軍中野学校。すごい作品でとても面白い。
制作は1966年だが、奇妙なほど戦前の緊張感が伝わってくる。
軍服や口調といった、細かい時代考証は門外漢なので何も言えないが、この緊張感は確かに昭和10年代であるとストレートに伝わってきた。

大事なことは作品として面白いかということだろうが、これこそこの作品の素晴らしきところだ。
スパイ養成学校というワードの持つさまざまな背景。経歴の消失、永遠の不自由、幸福の消滅。特攻隊にも比すべき自己犠牲の精神。
単純なシナリオでこの複雑な現実性が思いきり浮き彫りにされて、これだけでたいそう美味であるが、それだけでなく無駄を徹底して省く、客観的視点。
作品のキモはここだ、とはっきりわかっているように構造を掌握する制作陣。安易な解答で満足することなく、描写というものを突き進めた監督の力量がとてもよくわかる。

もう一つ触れておきたいことがある。切腹シーンだ。
詳細は省くが、仲間の一人が罪を犯し、仲間から切腹を強要されるシーンがある。日本のため、この中野学校のため、潔く死んでくれというが、非常に強烈なシーンである。戦後の映画なので、ここはマイルドに撮るのかな、と思ったら、実際に死んだ!
この意味である……。よく死んだ! とは思えないし(そもそも切腹は強要されると意味が変わってきてしまう)、こいつらは欺瞞者だ! とも思えない。もちろん切腹なんて簡単に語れるテーマではないし、いくら突き詰めたところで、反対の価値観同士の争いになるだけである。
ここの意味は、これが現実だ! という真正直なメッセージであると考えたほうがよさそうだ。仮にあそこが戦場であれば、もっとひどいことになっても仕方がない。

もう一つ語るとすると、ラストシーンだ。主人公の次郎は果たして、犠牲者なのか、あるいは確信を持った遂行者なのか、わからなくなる。姿がダブるわけである。そこに最高の文学的価値がある。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 恐怖
  • 知的
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