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紀ノ川 花の巻・文緒の巻 (1966)

監督
中村登
  • みたいムービー 2
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3.64 / 評価:22件

頭が疲れました

  • cyborg_she_loves_me さん
  • 2017年12月28日 17時21分
  • 閲覧数 344
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

 いい映画だと「頭では」思います。優れた人間洞察を、往年の大俳優たちの優れた演技で、美しい映像と共に綴っていることは、「頭では」よくわかります。

 でも、少なくとも私の胸には、感情には、まったく何も響いてきませんでした。例えていえば、こちらの魂を揺さぶるような十数巻の大河小説について、2~3ページほどの「あらすじ」を読んだような気分がしただけでした。

 3時間近くに及ぶこの長大な映画ですら、明治から昭和に及ぶこの滔々たる物語を描く枠組としては、あまりにも小さすぎます。これだけの長い映画を見ているのに、なんか「つまみ食い」をしてるような気分になるんです。あっちからチョイ、こっちからチョイと逸話をつまみ出してきて、その間は全部飛ばして観客の想像力で補わせながら、点の羅列だけを見せて長い線を描いたことにしようとしてる、という感じかな。

 だから、見てる間も、私は猛烈に頭を働かせ続けなくてはなりませんでした。この人とこの人はこういう関係で、明治時代に女学校を出たってことはこういう知識やこういう思想を身につけてるからこういう行動をするって言いたいわけだな、それが大正になるといきなりこうなるっていうのはロシア革命や日露戦争がこうなってああなったことの影響で、それで突然人が死ぬけどこの人はこの人とはこういう関係で、……云々、云々。忙しいことこの上ない。感情移入して共感している暇がない。

 私は原作は知りませんが、これって1巻本でしょう。芹沢光治良さんの『人間の運命』並のスケールの物語なはずなのに、原作も似たような感じの「駆け足」物語じゃないのかしら(ちがってたらごめんなさい)。

 しかし、例えば原作をすでに知ってて、明治・大正・昭和の歴史にも詳しくて、上に書いたような点が気にならない人にとっては、美しい映像と、優れた演技と、武満徹さんの素晴らしい音楽とから、大変に深い感銘を受けるだろうなと「頭では」思います。
 見る人を選ぶ映画、なんでしょう、きっと。

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物語
配役
演出
映像
音楽

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