消失について
- 文字読み さん
- 2013年1月23日 23時45分
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1999年。黒沢清監督。商業映画ではなく映画美学校での授業の一環として作られたものにふさわしく、ピュアで斬新で不可解そして不思議な後味。基本的に恋愛映画ですが、「消失」がテーマになっています。20世紀が消えていく時代にふさわしい。サンバの音楽隊の突然の導入とか暴力の描写とか、ちょっと北野武に似ているのだなと再発見。
一緒にいるがうまいぐあいに一体感を味わえない恋人同士の日常が次第に生きる意味を失っていく様子を静かに描いています。男のほう(武田真治)は消失に身をまかせて本当に消えていき、女のほう(唯野未歩子)はしっかりしなければと思いながらも消失を恐れている。
地図から日本は消えているし、国境を越えようとしてもうまくできない。そしてとんでもない量の(目に見える)花粉が飛んでいる。1999年当時に構想された近未来は「回路」のような日本消失(国家の消失)だったらしい。今思えば、現実は逆ですね。
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