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トラ・トラ・トラ!

トラ・トラ・トラ!

TORA! TORA! TORA!

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fg9********

5.0

崇高きわまりない傑作

 …いまから半世紀弱も前の1970年の作品だ。  …あらすじは、解説のとおり。  前半は、戦闘らしきシーンは殆どないが、日米両国の内部情勢や両国間の交渉模様が丁寧に描かれていて見応えがある。  そして、後半に差しかかるや、未明から夜明けにかけて茜色の空へ向けて、戦闘機零戦の隊列が真珠湾を目指して出撃していくシーンは圧倒的な美しさだ。  また、ハワイの上空を零戦の戦隊が滑空する時には、ハワイの田園にその機影が映える描写も目を瞠る神々しさが感じられた。  これ以降は結末まで怒涛の零戦編隊の猛攻撃だ。  そして、日本の奇襲攻撃の断然勝利かと思われたが、宣戦布告通知が遅れて、結果的には「だまし討ち」になってしまったことを、山本五十六が「眠れる巨人を起こしてしまった」、と嘆きながら戦艦の甲板を歩く姿は、先々の日本の敗戦を暗喩しているように思われる納得の幕引きだった。  余談だが、百田尚樹の「永遠の0(ゼロ)」の中に、その時の模様に触れられている部分があるので次に掲げる。  『ワシントンの日本大使館職員が戦線布告の暗号をタイプするのに手間取り、それをアメリカ国務長官に手交するのが遅れたからですが、その原因というのが、前日に大使館職員たちが送別会か何かのパーティーで夜遅くまで飲んで、そのために当日の出勤に遅れたからだといいます。一部の大使館職員のために我々が「だまし討ち」の汚名を着せられ、いや、日本民族そのものが「卑怯きわまりない国民」というレッテルを貼られたのです。』  なんとも浅ましい裏事情があったものだが、本作は間違いなく、崇高きわまりない傑作だ。  なお、渥美清がコック役でちょい出演しているのも懐かしかった。

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