老親 ろうしん
作品レビュー(8件)
- dam********
5.0点
老人介護という喫緊のリアルな社会問題に、絶望せず悲観せず、また口当たりの良さそうな空理空論をもてあそばず、本当に地に足をつけて正面から向き合うこと。 これがこの作品のテーマだ。 加えて、それと寄り添うようにして、人間としての自立、がもう一つのテーマになっている。それは、妻の自立であり、夫の自立であり、子供たちの自立である。さらにまた、老いたる者の自立でもある。 この映画が、何よりも優れているのは、介護の問題を決して他に転嫁せず、あくまで自分の問題として捉えようとしていることだ。問題は、他人事ではなく、自分の足下にある。同時に、それを家族の個々人の自立と緊密に結びつけたことである。 47歳の成子(萬田久子)は奈良・斑鳩の地で、7年間夫の父・兼重(小林桂樹)の世話をしてきた。専業主婦で長男の嫁というだけで、親戚から押しつけられ、冷たい目にさらされながら。 7年後、夫の大阪転勤が決まった。これで舅の世話から解放される。成子は躊躇なく離婚を切り出す。そして、東京に帰り、煩わしい夫の係累から解放され、新しい人生を踏み出そうとする。 ところが、その舅が大阪を家出し、東京の成子の家に転がり込んでくる。 ―― 介護のテーマは、考えようでは、いくらでも暗く重くなる。それを、問題を直視しながらも、前向きに明るいタッチで仕上げていったところは、見事というほかない。ズシリと重いテーマを、楽しく愉快にさばいてみせた槙坪監督に、大拍手である。 成子役の萬田久子が、ドジなんだけど知的でかわいらしい女性という、難しい役所をしっかりと演じきっている。兼重役の小林桂樹ははまり役。娘の聡子役の岡本綾も実にバランスがいい。
- デビッド
5.0点
旧作、老人介護の教育映画なのかも。女性の目線からたくましく描く。共生がよくわかる。
- asu********
5.0点
この映画はなかなかすごい映画です。 現実の問題にかなり突っ込んで描かれています。 いろんな問題がいろいろ出てくるんだけど、 「あるある」って思えることがいっぱいでてきます。 私は介護や同居の経験はないんだけど 実の姉から義父母との同居の愚痴や話を ずっと聞いてきました。 姉は義理の父の介護をずっとしてきて、送り、 と同時に次にやってきたのは、義母の介護。 口だけは達者な車椅子の義母の世話をずっと自宅介護で 続けてはいたものの、限界にきて、現在ホームに 入居してもらうことで、ようやく10年ぶりに自分の 時間を取り戻しています。 もちろん義母は元気なので、時々のお世話はあるものの、 姉は車の免許やパソコンにチャレンジしたりと 最近の姉は、イキイキとしています。 そんな姉のような人が、現実にはたくさんいるっていうことが、 本当によくわかります。 そんな中でこの映画は老人介護の問題や老後の生き方、 老親との共生について、決して暗く描いているわけでは ないのです。 現実問題は厳しいということもしっかり描いています。 そして家族の暖かさ、やさしさ、家族が本音でぶつかり合うことの 大切さ、楽しさを教えてくれます。 いろいろな問題を背景を端々に見せながら、 映画制作者の強い思いがぐっと伝わってきます。 俳優陣もとっても素敵です。 この映画、あまり注目されていないようですが、 とってもいい映画です。 多くの人の心の琴線に触れる映画だと思います。
- yos********
5.0点
年老いた親の介護を楽しんで出来るようになった萬田久子の成長ぶりをほのぼのと描く。 自分も両親の介護をしたことがあるが本当に大変だった。
- tnk********
4.0点
いつでも山あり谷ありと感じる作品。
- かわはら薪ストーブ本舗
4.0点
主人公がERのキャロルの声優さんの声に似ていると思っていたら、なんとその本人だった。この人は声優だけでなく女優としても活動しているのだと初めて知った。
- chi********
4.0点
今後、高齢化少子化が進み、 すべての人が、目を背けられない問題だと思う そのことを、観客に知らしめてる作品でした とても、重いテーマの中で時折見せる笑いに救われ、 ユモーアの大切さを感じた そして、何度か出てくる絶品のセリフたち 自分が、この映画のような状況に落ちたときに 乗り越えられる言葉の薬が養えた気がします
- mar********
5.0点
なんにもできなかった義父が、どんどんいろんな事ができるようになって行く所に感動した。 自分の親の介護だって大変なのに、離婚した夫の親の面倒までみた原作者ってすごい人だと思う。