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ドランク・モンキー/酔拳 (1978)

酔拳/DRUNKEN MONKEY IN THE TIGER'S EYE/DRUNKEN MASTER

監督
ユエン・ウーピン
  • みたいムービー 57
  • みたログ 2,053

4.00 / 評価:500件

ジャッキーがブレイクする直前の映画。

  • shinnshinn さん
  • 2020年8月27日 4時51分
  • 閲覧数 386
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

ジャッキー・チェン主演で1978年劇場公開のカンフー映画。日本での劇場公開が翌79年の7月なので、日本では、この時点でまだ、ジャッキー・チェンはブレイクしていないと推察。ブルース・リーが創ったカンフー映画というジャンルは、すでに世界的な大旋風を巻き起こし、世間では充分に認知されていたので、1979年頃の空気は1973年に急逝した香港の英雄・ブリース・リーの後継、次世代スターの登場(あるいは発掘)までの間の端境期にあたるのかもしれない。結果的にジャッキー・チェンが見事に香港カンフー映画のリレーの正当なバトンを受け取り、その血脈を継ぐことになる。


余談ですが、自分の世代だとジェームズ・ボンドは断然、ショーン・コネリーであり、カンフー映画は断然、ブルース・リーなのですが、僕の7、8個、下になると金輪際、ロジャー・ムーアであり、ジャッキー・チェンらしい。自分の感覚だとロジャー・ムーアはニヤケ過ぎだし、ジャッキー・チェンはオチャラケ過ぎなのだが、僕の下の世代にはそこが魅力らしい。ブルース・リーの敵を仕留めたあとの、怒りから悲しみへの表情の変化が僕は好きなのだが、あの余韻が暗すぎて重いのかもしれない(笑)。子供でも楽しめるコミカルなものへと舵を切ったジャッキーは、やはり賢いと思う。


お話はカンフー道場主のノーテンキなドラ息子(ジャッキー・チェン)が、カンフー勝負で大いなる屈辱を受け、それから厳しい拳法の修行に励み、酔拳の奥義をマスターして、最後は父親にさし向けられた刺客(一度、ジャッキーはこやつにボコボコにされています)を討つという、<B級スポ根テレビドラマ>のような安い感じなのだが、個人的にはジャッキー映画の中で一番好きな作品です。BGMの京劇のような音楽がいい。マジで最高傑作だと思っています(笑)。叔母さんの娘にチョッカイを出すエピソードや、無銭飲食のエピソードなどアクションも満載で、結構楽しめます。


何がスゴイかというと、カンフーの殺陣がスゴイ。香港映画独特の小道具を活かした、多様でフィジカルな動きは、いかに観客を笑かすかに特化しています。これでもかとばかりに畳みかけるアイデアもさることながら、それを具現化してしまうジャッキー・チェンの身体能力には舌を巻きます(とは言え、怪我も多く、ジャッキーの体の中には何本ものボルトが入っているらしい)。コミカルに演じるので、一見、いとも簡単なように見えてしまうのだが、計算し尽くされた一連の殺陣は努力の末の<芸術>といっていいと思う。簡単そうに見せるのが一流の証であり、いかにもやってますみたいなのは二流なのだ。ジャッキーのアクションはチャップリンのスラップステックな笑いや、フレッド・アステアのため息が出る見事なダンスなどに一脈あい通ずるものがあると思う。


タイトルの「酔拳」とは、酔えば酔うほど強くなるという拳法で、実際には存在しないのだが、発想が面白い。現実には飲酒は感覚が鈍くなり、酔えば酔うほど弱くなるし、痛みを感じにくくなる分、泣きを入れるのが遅くなり、結果、必要以上にダメージを受けることになる(笑)。気が大きくなり、痛みを感じないので大トラは非常に厄介な存在だと、現役の警察官から聞いたことがある。実際に迷惑この上ないのだ。


酔拳の師匠役のおっちゃんが、実にいい味を出しています(吹き替えの小松方正さんのダミ声がまた素晴らしい)。道場のイジワルな先輩(ディーン・セキ)はフザケタ椎名誠に見えてくるし、刺客の暗殺者も売れてない頃の竹中直人にしか見えない(笑)。ジャッキー・チェン吹き替え担当の石丸博也氏に至っては、もはやこの方以外には考えられないほどの安定感を感じる。神アテレコというしかない。

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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