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ドリームスケープ

一人旅

4.0

『インセプション』の四半世紀も前に…

TSUTAYA発掘良品よりレンタル。 ジョセフ・ルーベン監督作。 政府高官の陰謀に巻き込まれる超能力者の姿を描いたSFサスペンス。 『愛がこわれるとき』(1990)『危険な遊び』(1993)のジョセフ・ルーベン監督初期のSFサスペンスの佳作。マイナーな一作ですが、出演陣が驚くほど豪華です。主演は若き日のデニス・クエイド、なんと共演はマックス・フォン・シドー(善玉)にクリストファー・プラマー(悪玉)。三者の演技を拝見するだけでも一見の価値があります。 ストーリーはクリストファー・ノーランの『インセプション』(2010)を先取りしたような斬新な内容です。悪夢に悩まされる人間の夢の中に侵入し、その悪夢の原因を探りそれを断ち切る…という人類に有益な研究をしている秘密組織に雇われた超能力者アレックス。さっそくアレックスは最先端のマシンを介して就寝中の患者の夢の中に入り込み、患者を悪夢から解放させる作業をこなしていく。しかし、政府高官ブレアは研究を悪用して大統領暗殺を企てており、アレックスもまたブレアの陰謀に否応なく巻き込まれてゆく…という“悪夢を題材にしたSFサスペンス”で、核軍縮を推進する大統領とそれに反対する政府高官という80年代当時の米ソ対立構造を背景にしているのもポイントです。 夢の中に侵入するということで、SFXをふんだんに駆使した“夢世界”の描写が見所です。高所恐怖症の患者が見る悪夢は高層ビルのてっぺんで転落しそうになる場面、劣等感の激しい患者が見る悪夢は自分の留守中に妻が不倫している姿を目撃してしまう場面、少年の患者が見る悪夢は家の中で得体の知れないモンスターに襲われる場面…と患者それぞれが抱える苦悩が悪夢として再現されます。 良くも悪くも終盤にやりたい放題しまくった作品であり、核戦争で荒廃した風景&ゾンビの群れ&巨大なヘビの化け物&偽物ブルース・リーを、一つの夢の中にいっぺんに登場させるというワチャワチャB級感溢れるクライマックスは映像的勢いが凄まじいのです。ですが、そうした荒唐無稽な映像の奔流も“夢の中の話だから…”のワンフレーズで一定の論理性を保ててしまっているのがこの映画のラッキーポイントです。

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