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天国から来た男たち (2001)

THE GUYS FROM PARADISE

監督
三池崇史
  • みたいムービー 18
  • みたログ 125

3.80 / 評価:37件

アジアの緩い解放感が溢れる痛快娯楽作

  • ter***** さん
  • 2012年6月10日 0時02分
  • 閲覧数 1624
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

バックパッカーなら老若男女を問わずきっと気に入ると思う。日常に追われる疲れたサラリーマンにも、プチ放浪旅行に出たような爽快感があるはずだ。

40ヶ国近い渡航経験の中で、私のフィリピン滞在はごく短いものだったが、底抜けに明るく楽しい思い出しかない。この映画を見ていると、いつの間にか、ムッと来るような湿気と騒々しい匂い、寛大な緩さを思い出した。

エリート商社マンがフィリピンでトラブルに巻き込まれ、刑務所にぶち込まれるという設定が奇抜だ。登場する日本人受刑者は、もはや常識のタガが外れ、糸が切れた凧のように怖いものなしの面々だ。大物詐欺師の吉田(山崎努)、女を武器に世渡りする三島(大塚寧々)、現地妻ラブの海野(遠藤憲一)、ペドフィル医者の坂本(翁華栄)、躁状態のフィリピン太郎(水橋研二)。そして主人公を裏切る妻と部下。味方か敵か、いい加減過ぎて良く分からないフィリピン人仲間。

三池崇史監督も原作者・林洋司もスタッフも、かなりのアジア通だと思う。エンターテイメントらしく誇張されているため、現地人が見たら怒るのではないかと心配したくなる部分もある。しかし、「これはありえるかも!」と笑えるツボを押さえ、放浪旅の郷愁を掻き立てる。テレビでのタレント海外体験番組では「あー、分かってないな、このド素人は!」とじれったい思いをすることが多いが、この映画ではデフォルメされているのに臨場感があり、逆にリアルな空気を作るのに成功している。

何でもアリで油断ならないが心が熱く「裏切らない」アジアと、緻密で豊かだが心のどこかが壊れている現代日本の対比が、映画全体を一貫するメッセージだ。描かれるフィリピン像はかなり単純化されているし、物語もご都合主義で「ありえないだろう!」と突っ込みたくなる。が、それでも「ま、いいか」と思わせる、突き抜けた解放感と大らかさがある。現実にはどこにもないユートピアを画面に復元してくれたのが、元バックパッカーには懐かしく嬉しい。

陳腐化した先入観を反復するような欧米ロケが多い中、日本でもアジアにドップリ浸かったエンタメ映画が作れるのだと、嬉しくなった。たった2時間の映画を見るだけで、日本での日常を離れ旅に出たような気分になれるのは、実にお得だ。なかなか仕事が許さないけど、また旅に出たくなった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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