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トリコロール/赤の愛 (1994)

TROIS COULEURS: ROUGE

監督
クシシュトフ・キエシロフスキー
  • みたいムービー 78
  • みたログ 495

3.95 / 評価:111件

偶然の出会いから始まる交流

  • おーるどぼーい さん
  • 2008年6月19日 22時42分
  • 閲覧数 551
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

キェシロフスキ監督のトリコロール三部作最終章。赤色が散りばめられた流麗な映像、イレーヌ・ジャコブの静かな美しさ、孤独から立ち直る老人を抑えた演技で表現したジャン・ルイ・トランティニャン、どれもが素晴らしい。

バランティーヌと老判事の偶然の出会いから始まる交流をメインストーリーに、法学部生・オーギュストと恋人との関係をサブストーリーに配置。二つの話が微妙にすれ違い(時には接触しながら)最後に重なり合う様は、人生への確かな納得感を与える。

登場人物は誰もが他人とのディスコミュニケーションに悩んでいる。だがその魂の渇きを癒すのも、結局は他人との心の通った交流なのだろう。赤=友愛とは、慈しみの気持ち。映画は二つの孤独な魂(バランティーヌと老判事)が、相互に影響を与え合うことにより、友愛関係を築いていく過程を、静かに穏やかに描き出していく。バランティーヌの暖かい魂に触れ、老判事の冷たい表情に笑顔が戻る。バランティーヌも失った自信を取り戻し、自分の晴れ姿を見てもらおうと彼をファッションショーに招待する。信頼関係を築いた二人。ではオーギュストは?

オーギュストは法律家志望であり、また恋人に裏切られる運命である。この点で、彼の人生は老判事のそれを繰り返しているよう。ではオーギュストの将来にも、老判事と同じく味気の無い生活が待っているのだろうか。だがかつて愛を成就できなかった老判事の、自分と同じ人生を歩ませまいとする想いがオーギュストに乗り移ったかのように、映画のラストで、オーギュストとバランティーヌは巡り合う。

何度もすれ違いを繰り返したオーギュストとバランティーヌは、同じフェリーに乗り事故に遭遇したことで、ようやく出会いを果たす。映画は、二人がこれから関係を深めていくかもしれない、そんなほのかな希望を持たせて終わる。

偶然出会ったバレンティーヌと老判事は信頼関係を築き上げた。今度は再び偶然出会ったバレンティーヌとオーギュストが交流を深めていくのだろう。偶然の出会い、そこから始まる愛情。人生の深い味わいに触れる見事な作品である。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ロマンチック
  • 不思議
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