ヌーヴェル・ヴァーグらしい愛すべき映画
- URYU さん
- 2010年3月22日 20時36分
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ジャン=リュック・ゴダールによる、まさにヌーヴェル・ヴァーグらしい愛すべき映画…この頃のゴダールは、瑞々しさと斬新さの両方を、秩序から逸脱しない適度な調和の中に併せ持っており、とても素敵だ。
本作は「勝手にしやがれ」の続編のつもりで作られたという。「勝手に…」同様、これは多くの観る者の心を奪う魅力を持っている…それは、本筋である犯罪事件から離れたところにも散りばめられているので、細かいディテールを決して見逃してはならないだろう。
例えば、ジュールがフランツに銃で撃たれてのたうち回って死ぬジェスチャーで笑わせる状景…
英会話教室の管理係が、足をつっかい棒にして入り口で学生証をチェックする状景…
オディールが“髪型が時代遅れ”とジュールに指摘されて、英会話の授業中に髪を下ろして鏡を見ながら整える時の表情…
彼女が買物に行く時に、新聞紙に肉辺を包んで持って行き、近所で飼われているペットのトラにやるんだけど口にせず「食べないの?」とさほど気にもかけない様子で通り去る瞬間…
3人でカフェに入った時、無駄話を1分間辞めて沈黙しようなんて、子供じみたゲームをする状景…
唐突に3人並んでダンスする状景(なぜか、オディールだけが最後まで踊っているのがキュートだ)…
サンフランシスコのジミー・ジョンソンの持つギネス記録=≪ルーブル美術館を9分45秒で鑑賞する≫を破る挑戦をして、見事9分43秒という記録を達成する状景…
ジュールがオディールとのデートで「こんな歩き方の奴を見た」と言って大袈裟に真似をする状景…
オディールの伯母の家の番犬が、強盗が入っても全く吼えないで尻尾を振ってもらったエサを食べたりしている状景…エトセトラ・エトセトラ。
ちなみに、この映画はラストに続編の告知が入る…≪主人公たちが、次回は南の国へ行って活躍する…こうご期待≫というわけだ…どうやらその続編は「気狂いピエロ」の事らしい。
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