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千と千尋の神隠し

千と千尋の神隠し

SPIRITED AWAY

125

yad********

4.0

そばに居て、見守って

冒頭から、不安になる。 千尋と両親の微妙な距離感。 両親は千尋の手を握らない。 千尋は両親の腕にしがみつく。 両親から千尋への態度は、何処か冷淡。 だが邪険にしているでもない。 千尋は、10歳。 親にとっては、手が掛からなくなった年頃。 かと言って、完全には手放しにはできない。 例えるなら、 昼間に一人で留守番をさせても大丈夫だが、 一晩独りにさせるのはまだ無理。 1から10まで世話していた頃から、 ようやく1から5くらいまでで済むようになった。 “子供の為”と、何かと我慢していた不自由さから開放され、 そしてもっと千尋に成長を促し、もっと自由を取り戻したい・・・親。。。 千尋は、まだ10歳。 1から10まで親に面倒をみてもらうのをウザイと思い始める頃。 かといって、完全に放任されると不安になる。 もう手を握ってくれない親に対し、握られると嫌がり、手を離されると甘えたくなる。 川を渡れず、涙声で「待って」とすがる千尋を、チラッと振り返っただけで、 すたすたと先へ歩いてゆく両親。 『それくらい、頑張れば渡れるでしょ。何時までも甘えてないで、自力で乗り越えなさい』 と、無言で千尋に言い聞かせている様だ。 しかし千尋にとっては、確かに渡れるけど・・・ そうじゃない。 “このまま見捨てられるかもしれない”と不安を感じているのだ。 だから、手を引いて欲しい。。。 それも“甘え”と言うなら、せめて、渡りきるまで側で見守って欲しいのだ。。。 両親は別に千尋を邪険にしているのではない。 ただ、気付かないだけなのだ。 子供が親に対して確保する距離感、その複雑な気持ちを。 千尋は、両親が思っている程、“まだ大人ではない”って事を。 冒頭に感じた不安・・・それは上記の事だ。。。この“危うさ” そして、これがこの作品のテーマだと思う。 この微妙な年頃で両親と千尋の想いが誤解したまますれ違えば、ボタンの掛け違いの如く、 どんどん悪い方向へと双方の心が乖離してしまう。 だから、この作品が言いたかったことは、 “親はちゃんと子供のそばに居て、成長を見守ってあげて下さい” なんだと思う。 ラスト、両親の記憶はない。 千尋が両親を救おうと、どれだけ必死で頑張ったのかを、知らない。 ほんの少し大人になった・・・事を両親が気付いて欲しいと、願う。 千尋の身長は、ほんの少し伸びたのだ・・・ そして千尋の髪を結わいたゴムが変わっている事を、気付いて欲しい。 そのゴムがキラリと光った事に気付いて欲しい・・・ 何故なら千尋には、その光は見えてないのだから。。。

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