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ナサリン

ナサリン

NAZARIN

94

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5.0

神と人の間

まるでキリストの生涯をたどるように、一人の善良な神父が信仰の道を歩む旅。性と犯罪をめぐって「人はいかに救済されるか」が描かれています。 しかし、そもそも主人公の神父はごりごりの教条主義者でもないし、無差別にだれにでも心を許しているわけでもない。大家の女性にはクレームつけているし、逃げ込んできた女をあからさまに迷惑がっている。信心深いけれど人間くさい。いわゆる「いい人」レベル。 問題は、迷信的な女たちが彼を聖者に祭り上げてしまうことでしょう。拒否しながら、次第に彼の言動は無差別で無私の聖者そのものになっていきます(もちろん、家を失って放浪しなければならなくなったという環境も大きい)。人間臭さの消去。 そしてブニュエル監督のすばらしいところは、100%善人になって人間臭さをなくしていることに自分で気づき懐疑に陥ること。神も悪魔も合わせた人間に、神の力は通じるのか。宗教の本質に迫ったすばらしい映画です。

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