ここから本文です

夏の嵐 (1954)

LIVIA/SENSO/WANTON CONTESSA

監督
ルキノ・ヴィスコンティ
  • みたいムービー 24
  • みたログ 158

3.66 / 評価:38件

一緒に堕ちて欲しかった..。

  • bakeneko さん
  • 2011年9月9日 12時12分
  • 閲覧数 995
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

19世紀末期のカミロ・ボイトの短篇小説『官能』を映画化したビスコンティの初期の傑作で、ベネチアを舞台にして占領軍であるオーストリア将校と独立運動派の伯爵夫人の恋愛の行く末を、ヒロインの伯爵夫人の心理&視点を中心に描いて“恋愛における男女の温度差”と“現実に敗北する恋の夢”をドラマチックに展開して行きます。

本作は単純にストーリーを追っていけば―
全編を彩る“ブルックナーの交響曲第7番第一楽章”のロマンチックな音楽に乗せて、流麗なカメラワークと目に鮮やかな色彩で、
古都ベネチアの石畳の町並みに繰り広げられる、
シンプルな“格調高い恋愛絵巻”で、
文芸的な格調を持った鷹揚なメロドラマを堪能するのが基本的な見方だと思います。
でももう一つの見方を付け加えるならば、本作の深遠さは寧ろ物語の終末に恋情の破局として見せつけられるアンチロマンチックな部分にあるとも言えます。
恋愛に疎い伯爵夫人が偶然巡り合った“恋の幻影”に対して、オペラや恋愛小説の様な“身も心も焼き尽くす”情熱を期待する(=ロマンへの憧憬)ことによって、
客観的に観れば凡庸なプレイボーイを至上の恋人として“道ならぬ恋”の虚像に情熱的に酔いしれる夢は、
破滅への道行と知りながら“一緒に煉獄で灼かれる”=愛の究極の終焉への想いまで加速していきますが、
やがて思いもかけない“パートナーの良心の発露(=卑怯な自分への自己嫌悪)”によって現実の冷水を浴びせられるのであります。
この“恋のロマンの破残“のアンチロマンによる”夢の霧散“の虚無的な哀しみと、独り相撲であった奮闘の”恥辱“の惨めさが本作の感傷の核であり、「揺れる大地」や「ベリッシマ」等のビスコンティの初期作品に共通して描かれているテーマなのであります(つまり、”夢と尊厳を持ち続けたい人間と、それを打ちのめす現実の葛藤“をシビアに見せて”敗北の残響“で心を揺さぶってくれるのであります)。
“ボヴァリー夫人”の物語パターンを、よりイタリア的に謳いあげた作品とも言える物語で、ロマンチックな外見の内部にある“現実の怜悧さ”の確かな手触りに溜息を付き、“無残に散っていく夢”に哀切の感銘を受ける映画であります。


ねたばれ?
本作は恋愛に対する“男女の温度差”もくっきりと見せていて、
“惚れたら、腹を括って地獄までも堕ちて行く覚悟を決める”―女性と、
“現実社会とのバランスを崩してまで恋愛にのめり込めない”―男性の差は、若い方は勉強になると思いますよ~(太宰治の最後の心中エピソード=最期の状況を検分した際に、女は従容として死んでいたのに対して、男は(2人を結んだ綱を切って)這い上がろうとした跡が有った―を思い出しました♡)。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • スペクタクル
  • ゴージャス
  • ロマンチック
  • 不思議
  • パニック
  • 不気味
  • 恐怖
  • 勇敢
  • 知的
  • 絶望的
  • 切ない
  • セクシー
  • かわいい
  • かっこいい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ