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悩まし女王 (1947)

COPACABANA

監督
アルフレッド・E・グリーン
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3.00 / 評価:2件

コパカバーナへようこそ

  • rup***** さん
  • 2020年6月8日 23時35分
  • 閲覧数 197
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

マルクス兄弟のうちのグルーチョしか登場しない戦後の作品で、マルクス兄弟のコメディとしては初期の作品と比べて物足りなさを感じるかもしれませんが、グルーチョの相手役としてカルメン・ミランダが登場するのと、舞台となっているニューヨークの有名ナイトクラブであるコパカバーナで披露されるレビューシーンがそれを補うお楽しみ要素になっています。

冒頭でコパ・ガールズが歌う曲には憧れのハリウッド映画人の名前が連ねられていて、「(ベティ・)グレイブルや(グリア・)ガースンのようになりたい」といったスター女優の名前だけでなく、目に止まりたいプロデューサーとしてゴールドウィンやセルズニックと並んでレオ・マッケリーが出てくるのが時代を映し出している感じがしますね。
マッケリーは、「我輩はカモである」の監督としてマルクス兄弟とも縁が深いですが、当時オスカー受賞の「我が道を往く」やその姉妹編「聖メリーの鐘」で製作者兼監督としてのキャリアのピークを迎えていましたから。
でも、本作公開時には3人とも最盛期を過ぎて既に下降線を辿っていたというのが実情なので、その辺りのズレ具合が今観ると興味深いです。

カルメン・ミランダが本作では、ただ賑わせに歌とダンスを披露するだけでなく、ストーリーにしっかりと絡んでくるのも嬉しいところ。

ゴールドウィンからの貸し出しで出演のスティーヴ・コクラン(役名もスティーヴ)は、珍しく悪役ではなく、ショーのプロデューサーとして登場しています。

全く売れない芸人デヴェロー役のグルーチョがパートナーのカルメン(役名もカルメン)をソロの歌手として売り出そうとするものの、いつもながらのブラジルの爆弾娘スタイルでパフォーマンスをしても、スティーヴが全然食いついてこないので(高速でティコティコを歌うカルメンが圧倒的な破壊力なのに…)、今度はカルメンを別人のフランス人歌手に仕立てて売りだそうとするのですが、カルメンが化けたのが仏領モロッコ出身という触れ込みで、ヴェールを纏って見るからにインチキ臭い雰囲気のマドモアゼル・フィフィ。

この偽フランス娘にスティーヴはコロッと参ってしまい、カルメンとフィフィを両方とも雇うと言うので、カルメンは、その2人を使い分けて舞台に立たなければならなくなるというシチュエーションが面白いです。
ただ、この一人二役の大車輪を徹底してみせて笑わせるところまでいっていないのでちょっと生煮え感があります。

こういう無名の歌手や女優をフランス人に仕立てて売り出すというアイデアは当時のハリウッド映画ではよく用いられていて、「踊るブロードウェイ」のエレノア・パウエル、「Slightly French(ちょっとフランス風)」 のドロシー・ラムーア、「It´s a Great Feeling」のドリス・デイといったところが、片言の英語を喋るフランス人に扮して現れるとたちどころに注目を集めるようになるという展開は、アメリカ人のフランスコンプレックスの表れなのかもしれませんね。

また、脇を固める出演者の1人として、アメリカ本国では有名人でも日本ではなじみの薄いメキシコ系歌手のアンディ・ラッセルが本人役で甘い歌声を披露しています。
彼は、ディズニーのオムニバスアニメ「メイク・マイン・ミュージック」の中でもとりわけ地味な『あなたなしでは』のセクションで歌を歌っていた人で、本作でもかなりインパクトは弱め。

さらに、スティーヴの秘書アン役で、グロリア・ジーンが出ています。
彼女は、ユニヴァーサルがディアナ・ダービンの後継者となる少女歌手として売り出したものの、大成せずB級スターに留まってしまった人。
本作では見せ場となるシークエンスを1つもらっていて、スティーヴに秘かに恋をしているアンがラッセルからスティーヴに歌でアプローチしたらというアドバイスを受けてそれを実践しようとすると、スティーヴから「どうしたの?」「歌わないで」などと、ミュージカル映画のお約束を無視した返事が返ってきてしまうメタ的な受けを狙った場面の後、妄想の中でコパカバーナの舞台に立ち、きらびやかな衣装を着て美しい歌声を披露してくれます。

そして、グルーチョは、全面的には活躍しないものの、ホテルで小切手を書く際のアナーキーなやり取りや舞台で芸をする動物たちの餌をくすねてくるなどの小ネタをちょいちょい挟んでくるのが楽しいほか、舞台に自分のアバターを登場させて、歌を披露させるなんていうシュールな離れ業をみせるばかりか、ラストでは、本編にシガレットガールとしてちょこっと出演しただけのケイ・ゴーシー(グルーチョの実生活での奥方)がまるで本作のメインキャストの1人であるかのように現れてグルーチョと踊るという奔放さ!

小粒ですが、いろいろ楽しい発見のある作品でした。

〈マルクス兄弟の作品を8作収録したパブリックドメイン版DVDで鑑賞しました〉

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