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南部の反逆者 (1957)

BAND OF ANGELS

監督
ラオール・ウォルシュ
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3.00 / 評価:1件

社会派テーマとウォルシュのミスマッチ

  • rup***** さん
  • 2020年3月1日 23時10分
  • 閲覧数 52
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

1950年代後半のラオール・ウォルシュ監督作品で、内容的には人種差別問題を盛り込んだ社会派作品の一面があるのですが、アクションや活劇を得意分野とするウォルシュ監督にとって、本作のような題材を扱うのはなかなか難しかったのではないかという印象を受けました。
当時の監督では、リチャード・ブルックスあたりが手掛けたらピッタリといった感じの作品。

南北戦争が勃発する前のニューオーリンズから物語は始まり、大農園主の娘として何不自由なく成長したアマンサは、急死した父の葬儀の場で、自分の母親が黒人であることを告げられたばかりでなく、奴隷商人の手に引き渡されて競売にかけられることになるという、まさに天国から地獄に突き落とされるような境遇に置かれてしまう。

見た目は白人なのに黒人として扱われる若い女性を描いているのがエリア・カザン監督の「ピンキー」などを思い起こさせる設定なわけですが、奴隷市場の競売で売られようとしているアマンサの窮地を救うことになるのが、大金を出して彼女を買ったハーミッシュという中年男。

ハーミッシュを演じているのがキング・オブ・ハリウッドのクラーク・ゲイブルで、本作の頃になるとさすがに往年の覇気は薄れているものの、スターとしての存在感と貫禄は十分。

ハーミッシュはアマンサを常にレディーとして扱い、次第に2人は心を通じ合わせるようになっていくものの、ハーミッシュには過去にまつわる忌まわしい秘密があって、そのハードルを乗り越えられるかといった問題と、アマンサにも彼女のことを白人と思い込んだまま好きになる北軍の将校(エフレム・ジンバリスト・ジュニア)が現れるといったようなメロドラマ調へとシフトしていくため、序盤で強調されていた人種差別のテーマはかなりぼやけたものになっていってしまいます。
また、ハーミッシュの友人でアマンサに嫌らしく言い寄る男の役を、歳を取ったパトリック・ノウルズが演じているのも侘しい限り。

ヒロインのアマンサを演じているのが40年代後半から50年代前半にかけてユニヴァーサル映画の活劇クイーンだったイヴォンヌ・デ・カーロ。
それまで数々のプログラムピクチャーで主演を務めてはいたものの、上映時間が2時間を超える本作において、ゲイブルの相手役というより、彼女が物語の軸になってメインといってもいいような大役に抜擢されたのは、前年の「十戒」でモーゼの妻を演じたことが大きかったのではないかと思います。
ただ、彼女の演技自体は、プログラムピクチャー時代と変わっていないので、強いインパクトを残すことはなくごく平凡な感じ。

さらに、もう一人、重要な登場人物として、「暴力教室」等で注目を集め始めていたシドニー・ポワチエが演じているラウ・ルーという黒人青年がいて、彼は、ハーミッシュに育てられ、白人と同様の教育を受けて成長したものの、それが彼にとっては逆に足枷となって、ハーミッシュのことを恨むようになっていくという屈折した人物として描かれています。
このラウ・ルー青年とハーミッシュの関係が丁寧に描かれていたら違った角度から切り込んだ興味深い作品になっていたのではないかと思うのですが、終盤では浪花節的な扱いになってしまい、ちょっとおざなりな印象を受けてしまいました。

結局、映像に魅力が感じられるのは、冒頭で黒人奴隷たちが逃げたり、中盤でラウ・ルーが逃亡したりする際に、猟犬を使って追跡するような躍動感のあるシークエンスで、マックス・スタイナーの劇伴もここぞとばかりにテンション高く盛り上げているのが印象に残るものの、こういったウォルシュ監督の本領が発揮されるような場面が少ないのが惜しいといえる作品でした。

<以前NHK-BSで放送された録画ビデオで鑑賞しました>

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