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南部の人

南部の人

THE SOUTHERNER

91

bakeneko

5.0

ネタバレストーブの灯の暖かさ

2次大戦中にルノワールがアメリカで活動していた時期の作品で、ジョージ・セッション・ペリーの原作「秋を手のうちに」を脚色した、大地に生きる農民一家の奮闘を描いた、人間ドラマの傑作であります。 フランス人監督が農家の奮闘を描いた本作は、ジョン・フオードらアメリカの作家と比べると、視点が違うことに気がつきます。 つまり、“大自然の非常さ&猛威”等、無生物系の災難が最大の驚異として多く描かれるー人間の悪役も出てくるけれど、カリカチュアライズされていてドライなアメリカ作家の作品に比べて、 あくまで人間同士の葛藤や連帯感を中心に描いています。このあたりは「どん底」等の作品に共通する鋭い人間観察が光っていて、特に“普通の人間の悪い面”を的確に掴んでドラマに組み入れる作劇は、(「愛と宿命の泉」でも描かれた様に)農民の陰湿な面を知り抜いているフランス人ならではであります。 そして、湛然な生活描写と南部の痩せた土地&襲ってくる水害の映像は“自国ではないという客観性”からか、厳しいものがあります。そしてこの過酷な環境を生き抜こうと奮闘する家族を観客もハラハラしながら見守るのであります。 終始“農業開拓の厳しさ”と“人間関係の緊張感”に満ちた作品で、鋭く厳しい人間ドラマですが、ルノワールの“人間をみつめる根本的な優しさ”は揺るがない映画ですので観賞後の感銘は心地よいものであります。歯ごたえのある作品が見たい時にお薦めの名作であります。 ねたばれ? あの鯰は何を食べて大きくなったのだろう?

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