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肉体の遺産 (1959)

HOME FROM THE HILL

監督
ヴィンセント・ミネリ
  • みたいムービー 1
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3.00 / 評価:2件

親の因果が子に報い

  • rup***** さん
  • 2021年3月7日 23時49分
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作は、北米盤DVDを所有しているのですが、最近国内盤DVDがレンタルできるようになったので、初めて日本語字幕付きで鑑賞してみました。

親世代の愚かな所業が子供たちに影を落とす重苦しいホームドラマといった印象を受ける作品で、大人たちの行動が良く言えば人間的なのかもしれませんが、かなり浅はかに感じられることが多いので、観ていてオリのようなモヤモヤが残ります。

一番の元凶はロバート・ミッチャムが演じる父親ウェード・ハニカットに違いはないとはいえ、ウェードの悪癖を感受性の強い年頃の息子セロンに洗いざらい暴露してしまう母親ハンナ(エリノア・パーカー)もどうかと思いますし、セロンの恋人リビーの父親(エヴェレット・スローン)が噂を鵜呑みにして凶行に走ってしまうというのも深慮が足らなすぎて情けない。
前に、娘とセロンのことでハニカット家を訪問しているのですから、娘の子供が隔世遺伝で祖父に似たという考えは全く頭をよぎらなかったのでしょうか。

とにかく、そういった問題の多い大人世代のつけが子供たちに回ってくる。
最も割りを食ったのがウェードとハンナの息子セロンで、夫婦関係が破綻している父と母がともに彼を自分だけの子供のように扱って過干渉する弊害を感じるなか、坊っちゃん育ちで周りからからかわれていた彼が猪を自力で仕留めるまでに成長する姿をジョージ・ハミルトンが「サイコ」に出演する前のアンソニー・パーキンスを思わせるような繊細な演技で魅せてくれます。
その後、父親の所業を知ってショックを受け、家を飛び出し、恋人とも別れることになってしまうところからは、同じような境遇に置かれた「天使も夢を見る」(川島雄三監督)の津島恵子さんが演じた令嬢の明るさを少しでも分けてあげたいと思うほど、ストイックすぎて観ていてつらい…。

そして、もう1人重要な存在である、ウェードの使用人レイフ役を演じるジョージ・ペパードは、好感度の高い役柄。
「ペリーヌ物語」のペリーヌ(例えが古くてスミマセン…)みたいに『1人でくじけず生きてきた』健気さが報われて、日陰の存在であった彼に陽の光が当たるようになり、ラストの墓碑銘でそれが実現する場面が強く印象に残ります。

一方、これまでとは立場が逆転して、セロンが十字架を背負って生きていかなければならないという運命の皮肉。

また、ディズニー映画のファンとしては、リビー役として大人になったルアナ・パットンがヴィンセント・ミネリが監督するこの大作に出演しているのを観られるというのが楽しみの1つでもあります。

ルアナのことは「独立騎兵隊」のレビューのときにも書いたのですが、奇しくも、新たなディズニーの子役スターとして60年代に活躍するヘイリー・ミルズが「ポリアンナ」でディズニー映画に初出演したその同じ年に、先輩スターであるルアナは、恋仲となったセロンとの間に出来た子供のことで悩みを抱える役を演ずるまでに成長している姿をみせているのがとても感慨深いです。
でも、泣いてしゃくりあげているシーンでは、「南部の唄」で同じように泣いていた幼い頃の面影がありましたね。

セロンとピクニックに出かけたときに彼を膝枕する姿やシートに横になる姿が美しく撮られているところなんかは、ミネリ監督の美的センスが表れている感じがして嬉しくなります。

ヘイズコードが多少緩み始めたとはいえ、まだ1960年の作品なのでウェードの行状を描いた部分が中途半端に感じるところが多々あるものの、「スリー・ビルボード」のような暴力の連鎖が起こってしまうのは、現代の映画に似たものを感じましたし、ニューシネマ時代に一歩近づいた作品という印象も受けました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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