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逃げ去る恋

逃げ去る恋

L' AMOUR EN FUITE/LOVE ON THE RUN

PG1296

一人旅

4.0

13才のボクが、大人になるまで。

フランソワ・トリュフォー監督作。 妻・クリスチーヌと離婚したアントワーヌの新たな恋の行方を描いたドラマ。 「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズの完結編で、最大の特徴は前4作品のいくつもの場面が回想というかたちで挿入されていること。まさにシリーズの集大成で、『大人は判ってくれない』で登場した冷たい母親、『アントワーヌとコレット』のコレット、『家庭』の日本人女・キョーコ、そして『夜霧の恋人たち』から3作品連続で登場するクリスチーヌといった各作品を彩った女性たちや、アントワーヌの寂しい少年時代、ほろ苦い想い出などの名場面が次々に映し出されるのだ。5作品全てで主演を務めたジャン=ピエール・レオは第1作『大人は判ってくれない』出演時13歳、そして本作『逃げ去る恋』は33歳の時の作品。アントワーヌが20年にわたって少年から大人へと成長していく様子は何とも感慨深いものがある。肉体的には髭を生やした立派な中年になっていても、生き方や女性との付き合い方は惰性的でほとんど成長していない点もシリーズの魅力と言えるのだ。 アントワーヌはシリーズを通して多くの女性と出会い、恋に落ち、フラれてきた。完結編となる本作でアントワーヌがどの女性と結ばれることになるのか、予想しながら観てみるのも楽しいと思う。離婚したばかりのクリスチーヌとよりを戻すのか、それともキャリアウーマンになったコレットか、あるいはレコード店で働くサビーヌなのか(個人的にはサビーヌが一番可愛い)。一応答えは最後に明かされる。だが、シリーズを全て観てきた人ならきっと、これでアントワーヌの恋が終わるはずはない、と思うはずだ。アントワーヌの恋の人生はいつまでも終わらない。本作もその通過点に過ぎないのだ。

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