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逃げ去る恋

逃げ去る恋

L' AMOUR EN FUITE/LOVE ON THE RUN

96

Kurosawapapa

4.0

アントワーヌ・シリ−ズ完結編☆

この映画は、「大人は判ってくれない」〜「二十歳の恋」〜「夜霧の恋人たち」〜「家庭」と続いてきた、フランソワ・トリュフォー監督によるアントワーヌ・シリーズの完結編(1978年)。 これまでのシリーズの他、トリュフォーの「暗くなるまでこの恋を」「私のように美しい娘」「恋のエチュード」「アメリカの夜」「恋愛日記」などから、名シーンが抜粋されている。 回想シーンとしてだけではなく、ストーリーに合せたカットイン、主人公が映画館で見る映画などに使用されており、トリュフォーを知るほどに楽しめる作品となっている。 20年に渡る映像の数々は、ジャン=ピエール・レオや マリー=フランス・ピジェなど、全て本人の出演ゆえ、とても贅沢な映画。 シリーズ5作を20年間にわたり撮り続け、 子供時代から大人になるまで、俳優が全て同一人物という映画は、他には無いだろう。 ======= 前作で子供が生まれたアントワーヌ(ジャン=ピエール・レオ)だったが、妻クリスチーヌ(クロード・ジャド)との間に協議離婚が成立。 ある日、以前恋をし(「二十歳の恋」の時)、今は弁護士となったコレット(マリー=フランス・ピジェ)と出会い、昔を語り合う。 アントワーヌには新しい恋人サビーヌ(ドロテー)がいたが、なかなか上手い関係を築けないでいた。 ======= アントワーヌは、相変わらず恋多き男。  “逃げ去る恋” を追いかけ、パリ中を走り回る。 多感で、ナイーブで、優しくても、 気もそぞろで、どこか地に足が付かない主人公。 相変わらず女性から厳しいダメ出しも、、、 「 妻も愛人も妹も乳母も看護婦も欲しい人 」などと言われている。 それでもアントワーヌは、自分らしさを全てさらけ出し、 不器用なりに前を向いて生きている。 その姿勢は、 「大人は判ってくれない」のラストシーンでアントワーヌが見せたあの眼差し、、、 全ては、あの視線の延長になっているような気がする。 親に見放された不幸な少年時代は、アントワーヌの人格形成に大きく関与したが、 本作でアントワーヌは、初めて母親の墓地を訪れる。 愛情を注いでくれなかった母を許すかのような、シリーズ完結に相応しい名シーン。 ラストは、一見ハッピーエンドだが、 途中、「 2人が一緒になると失望や幻滅で破綻する 」という台詞もあり、 アントワーヌの人生は、これからも波瀾万丈の予感。 シリーズがこれで完結になったのは、実に寂しい。 中年・老齢のアントワーヌも、是非 見てみたかった。 フランソワ・トリュフォーは、本作の6年後に亡くなったので(享年52歳)、 結局は 叶わぬ夢だったのだが、、、。 ( ジャン=ピエール・レオは現在71歳で活躍中。 ) 自伝的作品として、トリュフォーの代名詞とも言えるアントワーヌ・シリーズ。 “愛” をテーマにした映画の金字塔として、 今なお、色褪せることのない秀作です☆ (Francois Truffaut:No17/20 ) 今作の監督キーワード:「前人未到のアントワーヌ・シリーズ」

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