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アンボンで何が裁かれたか (1990)

BLOOD OATH/PRISONERS OF THE SUN

監督
スティーヴン・ウォレス
  • みたいムービー 15
  • みたログ 20

3.33 / 評価:9件

公平な視線は硫黄島2部作とどっこいです。

  • tra***** さん
  • 2008年7月9日 23時53分
  • 閲覧数 997
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

捕鯨問題で何かとギクシャクしてしまっている日豪関係ですが、オーストラリアが公平な目線で作った戦争直後を舞台にした映画です。

これはネタばれなしで書くのは難しいな。相当なネタばれがあります。ただね、言葉のやり取りや憎悪が同情や尊敬に変わるところとか、観ないと判らないです。だからネタばれでも書いちゃいます。ごめんなさいね。もし気になるようでしたら、見終わってからでも読んでいただけたら幸いです。

私、公平な視線の映画って意味では硫黄島2部作とどっこいだと思っています。観たことない人はぜひ、観てみてくださいな。

以下ネタばれ。






インドネシア諸島にあるアンボン島に1000人以上のオーストラリア軍将兵がいた。しかし、たちまち日本軍に制圧された。そして捕虜となったオーストラリア将兵で終戦まで生き延びた者は100余名に過ぎなかった。死体を埋めたとされる場所を掘り返すと無数の人骨が現れる。

怒りを抑えきれない連合軍兵士達。ここで過酷な捕虜の扱いに対しする戦犯の裁判でいわゆるB級戦犯が裁かれるのですが…

オーストラリア軍中尉が処刑された件についての裁判。裁かれるのは3人、司令官(ジョージ・タケイ)、収容所所長(だったかな、渡辺哲)、そして実行した中尉(塩谷俊)。

司令官は爵位を持ち、英国留学経験があるインテリ。英語がぺらぺら。巧みな語学に内外の強いコネ。そして高次の政治判断で日本に帰国が許されてしまう。所長のふてぶてしさはいかにも悪そうですが、彼は結審が終わる前に割腹自殺をしてしまう。

連合国検事(まあ彼が主人公かな)は、裁判の合間に彼らを弁護する日本人弁護士にいうんだな。「君は彼らが本当に無罪だと思うのかね?」。日本人弁護士はうつむき加減で答える。「それが弁護人である私の役目ですから」。

実行した中尉は英語も堪能なクリスチャンの青年。終戦時には既に日本にいたが、嫌疑が掛けられていると知ると「逃げていると思われたくはない」と自らアンボン島に戻る。彼は上官の命令に従って、処刑をおこなった(士官の処刑は同じ階級の者が行うのが儀礼だったらしい)のだが…。

最高責任者は日本に逃げ帰り、命令を下したものは自殺してしまい、収まらないのはオーストラリア軍をはじめとした連合軍兵士達。憎悪と偏見に満ちた容赦のない視線を彼に浴びせる。

被告の中尉は毅然と裁判官や検事に申し開きをする。その主張の正当さは明らかであり、責任は命令を下した者であることは明白だった。検事もこの裁判の異常さに気付きはじめている。日本人弁護士は検事に問う。「あなたは彼が本当に有罪とお考えですか?」。答えに窮する検事。

習慣の違う裁判で、ろくすっぽ弁護もできずB級戦犯達に死刑判決が出されていたんですね。日本人弁護士が検事と雑談の中でつぶやく嘆きの台詞がある。「彼らは弁護士の私にも何も語ろうとはしません。推定無罪という概念すらも持っていないのです」。

はじめは憎しみと批判で観ていた兵士達やジャーナリストの心にも変化が現れるんですが…まあ、ここまで書いちゃうとハッピーエンドではないことも判っちゃいますよね。彼の無念さと、潔さと、握り締めた十字架が悲しいなぁ…。

戦勝国の目線とは違い、日本人戦犯に対する理不尽で一方的な裁判に批判的な視線でつくられた映画です。オーストラリアで作られたって事に敬意を表したいです。

余談ですが、兵士役でブレイク前のラッセル・クロウが脇役で出てますよ。ファンの方、は押さえておきましょう。

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