レビュー一覧に戻る
虹を掴む男

虹を掴む男

THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY

110

ves********

4.0

ダニー・ケイって、凄いーッ!

夢想癖のある青年が、ひょんなことから宝石のありかをめぐる事件に巻き込まれるコメディ。 青年ウォルター・ミッティをダニー・ケイが演じる、明るく、楽しく、幸福な正調コメディです。 制作は1947年、この時期の米コメディ映画にはあまり縁がなかったけど またもや食わず嫌い解消、新鮮。 原題『The Secret Life of Walter Mitty』。 ――ウォルター・ミッティの秘密の生活。 ヒマさえ有れば妄想三昧、赤信号で停車中だろうが夢見てしまうウォルターの秘密とは。 天才外科医になったり、エースパイロットになったり、 色男のギャンブラーになったりする彼の脳内パラダイスのことであり、 そして、現実世界でまきこまれている宝石事件(こっちは家庭や職場にナイショ)のことである。 いやー、ダニー・ケイがこれほど面白かったとは。 谷啓がダニー・ケイをもじって芸名にした話は有名だが、 当の本人について何も知らなかった。 スキャットのマシンガンのように早口で繰り出す歌の凄いこと、 空軍の撃墜王になる妄想シーンで、「音楽の教授のモノマネをやってくれよ」とせがまれて 突如として始まるパフォーマンスに呆然。 ん? え? あああ? えー凄い! と、あれよで引き込まれてしまった。 うん、確かに物語の本筋とはほぼ関係ない(笑)が、スゴかった。もう、天才という他ないですね。 物語は人のいいウォルターが、オランダの財宝を記した黒手帳と、 美女をめぐって、大騒ぎの大冒険となるのだが、これが意外とワクワク。 ポンと付けたようなエンディングも、逆になんだか楽しくなっちゃう。 ******* テリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』は公開時に 「ウォルター・ミッティがカフカに出会ったような作品」 という映画評がされたことがあった。 ギリアムは「それは言えてるねぇ。」 とインタビューに答えていたのを読んだ記憶が有る。(うろおぼえ) 夢想癖のある青年が、現実で夢に見た美女と出会うところまでは、まさにギリアムの『ブラジル』だ。 逆らえない母親に、妙ちくりんなムスメと婚約させられそうになるところも、 彼を頼りにしてるんだか、食い物にしてるんだかわからない上司の存在も似ている。 『ブラジル』のノスタルジックなセットが、『虹を掴む男』の(こっちは時代的にリアル)セットとだぶる。 ただしその後のストーリーは天国と地獄のような差があるが。 (『ブラジル』が「地獄」だったのかどうかは、個人差だけどね。) 『虹を掴む男』は明るく幸せな『ブラジル』。 本作を観てから『ブラジル』の主人公サムを思うと、 まさにウォルター・ミッティ・ミーツ・カフカな気持ちになれます。

閲覧数1,174