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尼僧物語 (1959)

THE NUN'S STORY

監督
フレッド・ジンネマン
  • みたいムービー 27
  • みたログ 320

4.25 / 評価:65件

宗教に生きようとした女性の苦悩と欧米文化

  • ibukulo- さん
  • 2012年11月12日 22時24分
  • 閲覧数 119
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

オードリー・ヘプバーン演じる主人公のガブリエルが修道院に入る直前から始まる映画ですが、彼女は、最初からアフリカで医療奉仕すること「だけ」が目的で、修道女になることが目的じゃないのが良く見えます。

それなのになぜ修道女になることを選んだのかは、この当時のベルギーの社会の仕組みがよくわからないので今一つ理解できません。ただ、医療や病院のルーツは修道院にあるらしいので、日本人の私らが想像するより当たり前の行為のようです。
または、アフリカで医療奉仕するための一番の近道だったのかもしれません。
ただ、ガブリエルに信仰心があることは表現されています。

修道院ってことはプロテスタントでしょうから、信仰が第一で他のことは犠牲にしなきゃいけないわけで、この映画の中でも、修道院長のマザーから「信仰のためには患者は二の次」とはっきり言われてしまいます。


ガブリエルは、学校での成績は相当優秀だったようで、とにかく自分に相当な自信を持っているのが映画の中の随所で表現されています。
だから、自分の目的のためには自分はどんなことにも耐えられるし、対応できるという思いがあったんですが、それが色々な制限からうまくいかなかった。
だから、比較的自分の思いが叶えられていた前半が希望と充実感に満ち溢れた生活だったのが、それが頓挫した後半は、もう自分との闘いのみになります。


というわけで、そういうところの機微を、紆余曲折がある彼女の人生から感じ取って見ていく映画ですね。


ただ、ガブリエルが、アフリカの黒人に対して医療奉仕したかった理由はこの映画の中では語られないです。ヨーロッパの白人社会の人には説明する必要もないことなのかもしれませんが、日本人にはわからないので、ここは少し消化不良になります。



オードリー・ヘプバーンの映画としては数少ない、「緑の館」や「暗くなるまで待って」のような全編シリアスな役どころですが、花凛で清楚で強い意志を持った人物設定が見事にハマってます。

前半の修道院内の生活を描写してるシーンも特筆ものです。修道院での生活がどんなものだったかを描いてる映画って初めて見たので、ものすごく興味深かったです。

それと、この映画を見てると、白人がアフリカで行っていた医療奉仕活動が、人種差別の上に成り立ち、明らかに黒人を見下してる様子もわかります。
白人至上主義が子供のころから染みついてるから、本人たちは、そのことに気づいてないんですけどね。
白人と黒人の病棟が別なのは「当たり前」で、だれも疑問を差し挟まないとか。


色々と、第二次大戦前のヨーロッパの思想や社会構造がわかる映画でもあるし、「宗教にのめり込むとろくなことにならない」というのも確認できるので、自分的にはとても良い映画でした。

詳細評価

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