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尼僧物語 (1959)

THE NUN'S STORY

監督
フレッド・ジンネマン
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3.94 / 評価:64件

オードリーが神々しいまでに美しい。

  • じゃむとまるこ さん
  • 2014年2月11日 22時50分
  • 閲覧数 1618
  • 役立ち度 20
    • 総合評価
    • ★★★★★

オードリー・ヘプバーンの代表作と言えば、『ローマの休日』と誰もが言うだろう、私もそう思う。
『麗しのサブリナ』『昼下がりの情事』などどの作品もキュートで美しく上品で大好きだ。
だが、本作をみて、私はオードリーの女優としての素晴らしさが本当のところわかっていなかったと思った。
米国映画協会が選ぶもっとも偉大な女優50選の3位(ちなみに一位はキャサリン・ヘプバーン)らしいが、当然の評価だと納得した。
美しすぎるオードリーの尼僧姿に惹かれ鑑賞したのだが、姿かたちだけでなく崇高な人間の姿が描かれた傑作だった。

カトリックの尼僧とはどういうものか、ひたすら己を捨て戒律に従順に生きること、それが主人公ガブリエル(ヘプバーン)の求めていたものなのか。
尼僧になることは人間性を捨てることだと、他人への愛に生きることを選んだガブリエルは人間的崇高さゆえに尼僧として苦悩する。
尼僧になるというのはまさに宗教に洗脳された人そのもの、ロボットになることと同じように思える。
この映画はガブリエルが、様々な試練、そして人との出会いを経て、自分が理想としてきた尼僧としての生き方を捨て、苦難に満ちていても、人としての愛や憎しみや苦悩の数々を受け入れる人生を選びとってゆくまでを描いている。

1959年という時代に「宗教と人間」というテーマの映画で、信仰を捨て人間として己に正直に生きるということを描く映画には抵抗があったのではないかと思う。
原作に忠実であったにせよこの映画には、監督フレッド・ジンネマンの人生が色濃く反映されていると思う。
ジンネマンは『地上より永遠に』や『わが命尽きるとも』など傑作を数多く残したアカデミー賞ノミネート6回、受賞4回という大監督だ、本作もノミネートの一本だが、彼はウィーン生まれのユダヤ系ドイツ人、両親はホロコーストで亡くなっている、この映画はそんなジンネマンが本当に撮りたかった映画だったのだろう。

ナチスドイツが中立国ベルギーに侵攻し、尼僧であったガブリエルはベルギー人の父が機銃掃射で殺害されたのを機に、自分に向き合い人としての憎しみや苦しみを受け入れパルチザンに身を投じる決意を固める、これはジンネマンが自信を投影した姿だと思う。

そしてコンゴでガブリエルが出会う人間味に溢れた無神論者の医師(ピーターフィンチ)もガブリエルに大きな影響を与えるが、この人物にもジンネマンが投影されているのだろう。

そしてまた、オードリー・ヘプバーンもベルギー生まれ、第二次大戦中はナチスドイツ占領下のオランダに住んでいたようだ。
本作中盤まではシスター・ルーク(ガブリエル)のベルギー領コンゴでの献身的な医療活動が語られる、それは尼僧としての立場を超え人間として崇高なものだった。
オードリーはこのころすでにユニセフと関わりを持っていて、アフリカ、アジア、南米での援助活動に身を投じていた。

この監督と女優のタッグが、たぐいまれな美しく力強い作品を創りだしたのだと思う。
オードリー・ヘプバーンは初期から中期のどの作品もとても美しいが、この映画では姿かたちの美しさもさることながら、人間としての美しさを感じさせてくれる、傑作と言えます。

このオードリーは必見です。

詳細評価

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