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ニューオリンズ

ニューオリンズ

NEW ORLEANS

89

bakeneko

5.0

ネタバレJazzがJassだった頃

1910年代から1930年代までのニューオーリンズの街の変遷をジャズ音楽の隆盛に載せて活写した”アメリカ南部街+音楽史”劇で、当時35歳のビリー・ホリデイが唯一出演して歌声を聴かせてくれる映画でもあります。 名家のオペラ歌手令嬢が、メイドが歌っているジャズ&ブルースの音色に惹かれて演奏されている盛り場に足繁く通ううちにその音楽性に心奪われていくが、当時の上流階級は低俗なポピュラー音楽を拒絶する傾向があって…というお話で、やがてアメリカの国民的音楽となっていくジャズの黎明期が当時の文化&風俗&黒人の立場と共に活写されていきます。 ビリー・ホリディの恋人役でルイ・アームストロングと彼の” オリジナル・ニューオーリンズ・ラグタイム・バンド”が出演する他に、ウディ・ハーマンも彼のバンドを引き連れて出演している作品で、”Do you know what it means to miss New Orleans”♪、”New Orleans Stomp”♪、”West end Blues”♪などの名曲が目白押しの聞き所満載の映画となっています。 特に、”I'm always chasing rainbow”♪=ショパンの「幻想即興曲嬰ハ長調」といったジャズとクラッシックの融合も楽しく、当時の白人と黒人の間にあった厳然たる人種差別を音楽が繋いでゆく様子はアメリカ社会の進歩を見せていますが、やはり最後は白人中心の大団円になるあたりは、1940年代のアメリカの実情と限界も写し取っています。 ビリー・ホリディとルイ・アームストロングのデュエットも贅沢な音楽映画ですが、脇役で出ている”まだ細かった頃のシェリー・ウィンタース(26歳)”は輝く美しさですよ! ねたばれ? 本映画の冒頭で象徴的にその消滅が語られ、劇中に流れる曲:”Farewell to Storyville”♪に歌われるストーリーヴィル (Storyville) は、米国ルイジアナ州ニューオーリンズに1897年から1917年まで設置されていた売春地区で、ジャズは娼館で奏でられていた音楽でもあります(ストーリーヴィル の赤線地帯の全盛期を描いた名作が「プリティ・ベビー」です!)。

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