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ニュー・シネマ・パラダイス (1989)

NUOVO CINEMA PARADISO/CINEMA PARADISO

監督
ジュゼッペ・トルナトーレ
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  • みたログ 1.4万

4.36 / 評価:3379件

解説

イタリアの名匠ジュゼッペ・トルナトーレによる、映画史に残る至高の名作。イタリアのシチリアを舞台に、少年と映写技師が映画を通して心を通わせていく様を、感動的な音楽と繊細な人物描写で描き出す。映画に魅了された少年トト役を、サルヴァトーレ・カシオが愛くるしい演技で演じきった。年齢を超えた友情や少年時代の夢など、世代や時代を超えた人々に愛される物語に、“映画の魔法”という名の感動が存分につまっている。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

映画監督のサルヴァトーレ(ジャック・ペラン)は、映写技師のアルフレード(フィリップ・ノワレ)という老人が死んだという知らせを受け、故郷のシチリアに帰郷する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

写真:Album/アフロ
写真:Album/アフロ

「ニュー・シネマ・パラダイス」映画を愛する全ての人に改めて届けたい、トトとアルフレードが奏でる鎮魂歌

 もはや説明不要なほどに知られた、不朽の名作である。ジュゼッペ・トルナトーレが全編を通して紡ぐ映画への愛はどこまでも尊く、長きにわたり世界中の映画ファンへの問答無用のラブレターであった。1989年の第42回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で、審査員特別グランプリを受賞してから30余年。その間、世界中で様々な出来事が起きたが、映画を愛する人々にとって、そして映画を生業とする人々にとっても、今ほどこの作品を必要とする時代はないのではないだろうか。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、何もかもが変わってしまった。これまでの何気ない日常が、どれほどかけがえのないものであったかを誰もが痛感させられているはず。世界中の映画館が休業を余儀なくされている。いったい誰が、映画館のない日常を想像することが出来ただろう。

 「ニュー・シネマ・パラダイス」に登場する小さな映画館「パラダイス座」は、シチリア島の小さな村の中心に位置する広場にあり、教会を兼ねている。第二次世界大戦終結直後で誰もが貧しく、楽しみといえば映画だけだった。本編には、「駅馬車」「チャップリンの拳闘」「ジキル博士とハイド氏」「風と共に去りぬ」「街の灯」「カサブランカ」「素晴らしき哉、人生!」「夏の嵐」「ならず者」「ローマの休日」など、数え切れないほどの名作が登場する。映写技師として働くアルフレードと、「トト」と呼ばれていた映画に魅了された少年サルヴァトーレの心の交流は、この場所から始まる。

 今作には、大きく二分すると劇場公開版とオリジナル版が存在する。前者はパラダイス座が物語の中心として鎮座するのに対し、後者はトトの人生に主眼が置かれている。まるで趣が異なるが、その是非を論じるのは野暮というもの。トトとアルフレードの触れ合いは実に温もりにあふれ、人はひとりでは生きていけず、行動しなければ何も始まらないということを、見る者に静かに提示してくる。

 火災によって失明したアルフレードが、突き放すようにトトに告げるセリフが強く胸を打つ。「今のおまえは私より盲目だ。人生はおまえが見てきた映画とは違う。人生はもっと困難なものだ。行くんだ! おまえは若い。もう、おまえとは話したくない。おまえの噂が聞きたい」。

 鑑賞機会を重ねれば重ねるほど、シーンひとつひとつの持つ意味合いが染み入ってくる。少年時代のトトが映写室の小窓から覗き込んだ世界には、銀幕を食い入るように見つめる好奇心に満ちた眼差しがあった。戦後の日本が迎えた、空前の映画ブームも然り。笑いも涙も、客席に座る誰もが等しく共有できた。この光景を、失くしてはならない。冒頭で今作を「映画ファンへの問答無用のラブレター」と記述したが、いまはトトとアルフレードが鎮魂歌(レクイエム)を奏でているようにも感じられる。そう遠くない将来、人々が本当の意味で日常を取り戻すまで、そして世界中の映画館に人々が戻ってくるまで、何度だって2人が激励してくれるはずだ。(大塚史貴)

映画.com(外部リンク)

2020年4月23日 更新

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