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ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版 (1989)

NUOVO CINEMA PARADISO/CINEMA PARADISO

監督
ジュゼッペ・トルナトーレ
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  • みたログ 1,699

4.27 / 評価:437件

最後はノスタルジーなのか?

  • 和製ズィーマン さん
  • 2021年1月8日 0時05分
  • 閲覧数 420
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

ラストシーンに感動のあまり不覚にも落涙を禁じえなかった…とまではいかなかったが(笑)、映画に対する愛が伝わってくる良質な作品。
舞台は、第二次世界大戦直後のイタリア・シチリア島。
シチリア島といえば「ゴッドファーザー」(特にPARTⅡ)の影響で、怖え~ってイメージがあるけど、この映画ではどこまでも長閑だ。(とはいっても、瓦礫と化した建物によって戦火の激しさを物語る描写もある)
村人たちの唯一の娯楽は、映画館「パラダイス座」での映画鑑賞なのだが、配給元から届いた映画フィルムを村人たちに見せる前に教会の神父の前で試写し、神父が「不適切」と判断したシーンのフィルムを、ベテラン映写技師・アルフレードにカットさせるという「検閲」が行われているのだ。
流石は(?)ローマ教皇庁の御膝下・イタリアだな~って感じだ(笑)。
そのような中、パラダイス座に入り浸る少年・トトが映写室に入りたがるのだが、職人気質の頑固オヤジであるアルフレードは頑としてはねつける。
でもトトの熱心さに絆されたか、トトが欲しがるカットされたフィルムをくれるという。
ただ、フィルムはアルフレードが預かっておくそうな。
そりゃあ、不適切なシーンを子供に見せるわけにはいかない(笑)。
そして、小学校卒業認定試験(アルフレードは小学校を出ておらず、昔のシチリアの貧しさを物語る…)でカンニングを手伝ってもらった見返りとして、トトが映写室に大っぴらに入ることを許し、剰え映写技術を教えてすらやる。
このあたりの描写は、トトを演じる子役の可愛らしさも相俟って、実に微笑ましい限りだ。
こういうほのぼのシーンが続くと思いきや、パラダイス座が火事になり火傷でアルフレードが失明するという事故が起こる。
そこでトトがアルフレードに代わって、再建されたパラダイス座の映写技師になる。(児童労働じゃねーか!?…笑)
やがてトトは子供から青年へ…。
瞬時に子供トトが青年トトに切り替わる演出が実に秀逸!
青年トトは、当地へ転勤してきたエリート銀行マンの娘・エレナと身分違いの恋に陥ってしまう。
でも、トトの才能が地元に埋もれてしまうことを惜しむアルフレードの「策略」によって、トトはエレナとの仲を引き裂かれ、アルフレードの勧めに従って、ローマへ出て映画人への道を歩むことになる。
そして、映画監督・レネーラとして功成り名を遂げる。
でも、特定の女性を愛することができないようで、エレナを超える女性に巡り会えないのか、相手の女性をとっかえひっかえするようなチョイ不良(ワル)オヤジと化している。(流石はイタリア人?…笑)
女性視聴者は、とても共感できないだろうな(笑)。
アルフレードの訃報を聞いたトトは、30年ぶりに故郷へ錦を飾る形でシチリアに帰る。
もはや、村では映画が唯一の娯楽ではなくテレビやビデオの時代となり、パラダイス座も既に閉鎖され、取り壊されて駐車場になるという。
トトも、飲み屋で見ず知らずの他人からサインを求められるほどの故郷のヒーローだ。
そのような中、飲み屋の窓外にエレナそっくりの女性を見て愕然とする。
後日、またその女性を見つけて後をつけるトト。(殆どストーカー…笑)
彼女はエレナの娘であり、父親は幼馴染のボッチャであることを知る。
トトは電話で再会したい旨をエレナに告げ、一旦これを断ったエレナだが、海辺に佇むトトのもとに現れて一夜限りの再会を果たし、エレナとの破局の原因もアルフレードの策略であったことを知る。
トトは、未亡人からアルフレードの形見のフィルムを渡され、それをローマに持ち帰って試写室で映すと、それはアルフレードが預かるといっていた神父の指示でカットされたキスシーンのフィルムを繋ぎ合わせたものであった。
スクリーンを見つめるトトの胸中に去来するものは、如何なるものであったのか?
エレナとの再会シーンのない劇場公開版なら、フィルムをくれるというアルフレードとの約束の数十年越しの成就の感慨、それに伴う幼き日のノスタルジーということになるのだろう。
ただ、この完全オリジナル版となると、また違った解釈が可能になるのではないだろうか?
アルフレードによって「カット」された「エレナと添い遂げる」という人生を、たとえ一夜ではあっても、エレナと結ばれたことによって、それを取り戻せたという感慨、もしくは、それも所詮はカットされたキスシーンのごとく、瞬時に消えゆく泡沫のごときものでしかないという諦念ではないかと、私なりに愚考してみたのだが、各人各様の解釈が可能なラストシーンであろう。
それにしても、全編を彩るエンニオ・モリコーネ作曲による音楽のすばらしさ。
私の中では、モリコーネ作曲の映画音楽は、「夕陽のガンマン」とこの「ニュー・シネマ・パラダイス」が双璧である。(全く違うタイプの映画であるが…笑)
昨年モリコーネ氏が逝去されたことは実に惜しまれる。

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